第1回トヨタ学習会・2
猿田教授の「トヨタと地域社会」
昨日のブログでは、トヨタ自動車の研究は、「トヨタ生産システム、人事管理、労使関係、地域社会」と書いたが、正確には、「・・・、トヨタの労使関係と地域社会」である。簡単に言ってしまえば、トヨタの生産・利益至上主義のもとでは、労組それ自体も組み込まれ、地域社会の基盤も支配下におかれ、トヨタのために動員される。労組は、組合員のため、地域住民のため、地域社会のために何もしないうえに、トヨタの良き協力者であるのが現実だ、と言えるだろう。
猿田教授はいう。「トヨタについて書かれたものは多い。しかし、そのほとんどは地域社会についてほとんど触れていない。しかも、労使関係との関わりで論じたものは、皆無と言ってよいかもしれない。しかし、われわれにとってトヨタ研究は、地域を無視しては成り立ちえないものである」
私の中でも、「トヨタ城下町」「すべての道路はトヨタに通ずる」「トヨタ生協」「トヨタホーム」「豊田学園、豊田高専、豊田工業大学、海陽学園」「トヨタ労連支配下の愛知の労働運動」「県議会、市町村議会に隠然たる力を持つトヨタ系議員」という言葉で、トヨタと地域社会については、個別的には知り得ていた。だが、それらの有機的結合を明らかにしつつあるのが猿田教授の「トヨタ研究」なのだと思う。
例えば、全寮制の男子中等教育学校(中高一貫校)・学校法人海陽学園の代表(理事長)は豊田章一郎氏、もちろんトヨタ自動車は有力な出資者である。これだけの説明でその目的も、概略はわかるような気がする。だが高校の、「管理教育」というセンセーショナルな言葉が闊歩して随分になるが、その当時は「東の千葉、西の愛知」といわれるほど愛知のそれはひどかった。それが、日教組の影響力の排除、有名大学への進学率競争と結び付くことはあっても、それが、トヨタの「能力主義・序列主義」(高校の複合選抜-複数受験と輪切り入試)と結びついているという点、つまり「労務管理」と「管理教育」の有機的結びつきは思いもよらない指摘であった。
またデータとなる資料はなかったが、全国有数の裕福県愛知の高校進学率が、都市圏では珍しく低い背景には、中学生のトヨタ学園への入園があるとされ、そうなれば、デンソーを含むトヨタ関連会社にも、相当数取り込まれていることになる。そうであるなら、「ゆりかごから墓場まで」ではないにしろ、小中学校から高校、大学を含め、「マイカーはトヨタ車、トヨタの寮・社宅で過ごし、ローンは会社の住宅貸金、マイホームはトヨタホーム、くらしはトヨタ生協」という、純粋培養器に育った「トヨタマン」が生まれる。
もとより、「個人の幸せ」にまであれこれ言うつもりはないが、「スウェーデンの場合には、強力な産業別組合と社民党を中心とする左翼政権の下で、労働者・市民連帯による人間中心社会づくりが行われてきた」という世界があり、これが私たちの社会でも育っているとしたなら、「トヨタの研究」が、正反両面を描き出し、不幸にして「反」が、トヨタの今日的実像であるなら、そして今後も変わり得ないのなら、「研究の成果を、労働の現場で活かそう」という私たちの課題は、永続的なものになる。 了
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