2019年8月25日 (日)

参院選後の政治を展望する・2

   高野 孟講演会(2)野党について
 あれがだめならこれ、これがだめならあれと目先を変えるばかりで何の実績もない安倍政治は「下の下の下」、21世紀戦略に欠けている、という高野さん。ならばなぜ安倍政治が佐藤栄作内閣を超すような長期政権として続くのか?
 その疑問はだれしも持っていると思う。それは後半の質疑応答でもその一端が伺えた。例えば、「れいわ」をどう評価されるか、なぜこんなにも「投票率」が低いのか、イタリアの「オリーブの木」について(野党連合)、「リベラル」の人ってどんな人(政治家、著名人)がいるか、など。
 高野さんは、8月20日に立憲民主党と国民民主党が衆参両院での「統一会派」合意について語った。「統一会派」の必要は認めつつも、大事なことは「理念・政策」でそれを抜きに数合わせに走ることの愚を説いた。まさに「枝野は頑迷、早く一緒にならないと」というマスコミの煽りを受けつつ枝野代表が慎重であり続けたのは、その点にあった。私の周辺にも「野党統一」を唱える人は多い。問題は「野党がバラバラだから与党に勝てない」のは事実としても「理念・政策」を抜きにしていないか、旧民主党・民進党に逆戻りするようなことでは世論の支持は得らないと考えてことか、である。
 では「理念・政策」というがそれはどう読み解くのか。「理念」で言えば高野さんは「本当のリベラル政党を」をあげ「リベラルと旧革新・旧左翼とを一緒にしてくれるな」として、その違いを「対比表」として示した。詳細は省くが「人間としての基本姿勢(謙虚な自己相対主義)」「コミュニケーション方法(柔らかな共同戦線主義)」「政治的な目標設定(結果優先主義)」「政策的な発想(未来からの風を現在に届かせる理想主義)」「組織論の基礎(水平協働主義)」という視点から、旧保守、革新とは違う第3の「リベラル政党」を示した。ここのところは大いなる議論と学習が必要で“お説を拝聴”するだけでなく、自らの熟考、論理整理が欠かせないだろう。
 次に「政策」についてである。例えば原発政策で言えば、立憲は5年以内に全原発の廃炉を決める「原発ゼロ基本法案」を掲げるが、電力総連系の議員を抱える国民は同調していない。それでも「統一会派」から「野党統合」へ進めば「連合」は分解しかねない、そして「電力総連系」は、自民党支持に行きかねないと高野さんいう。
 さらに、政策、課題で合意できたとしても「共産党アレルギー」が一掃される見通しはなく、イタリア・オリーブの木が、この日本で成り立つかどうか、「日本的オリーブの木」はあり得るのか、どのように整えられるか、 (続く)

 

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2019年8月24日 (土)

参院選後の政治を展望する・1

 高野 孟講演会(1)
 この日、ほぼ同じ時間帯で、「表現の不自由展・その後」の再開をもとめる8.24 集会&デモ i n 名古屋が、愛知芸術文化センター東隣の栄公園にて集会とデモが開かれた。主催は「表現の不自由展・その後」の再開をもとめる愛知県民の会で、高野 孟講演会に遅れて参加した人の話で200人ほどの参加だったという。
 この愛知芸文センターが、「表現の不自由展・その後」の展示会場であったから、栄公園での集会となった。
 私は午後4時20分頃、第21回リベラル政治懇話会「参院選後の政治を展望する-高野 孟講演会」の会場にに到着し、頼まれて受付の手伝いをした。
 高野さんの話の概要は①参院選挙-改憲派が3分の2を割る。②安部政治=安倍の改憲戦略の曖昧、八方ふさがり、本気度が試される9月の人事。③野党の自民一強対抗策。③リベラル政党とは、といったところだったと思う。
 一方私の関心は、①参院選の結果・総括、②立憲民主党のこれから。③野党統一について、だった。

 

 高野さんの話の3分の2は、憲法問題と安倍政治につてで、まず参院選で、単純ではないが改憲勢力が3分の2を喪失した、にも拘らずマスコミは、東京新聞を除いて「与党勝利」と書いた。この「単純ではないが」は、一つは、「反安倍改憲」の野党の側にも「改憲」に加わる議員もいれば、「立憲民主党」も一切改憲しないとは言っていない。
 次に公明党の立場についてであるが、元々「加憲」であり9条の改憲には慎重であることは知られてはいるが、安倍の9条の書き込みについては創価学会から“造反”が出ている。例えば沖縄の辺野古新基地建設は、地元は一貫して反対の立場で、県民投票、知事選にもそれが表れている。また先の参院選挙、東京選挙区で「れいわ」から立候補した野原善正氏は「沖縄創価学会壮年部所属」である。東京は公明党の山口那津男代表の選挙区であり、山口は約81万票の得票であったが、落選したものの野原は約21万票を獲得して注目された。「れいわ」の票もあるであろうが、学会員の多くが山口でなく野原に入れた、「崩れかけた平和の党、公明党」への反発であろうと高野さんは指摘した。
 次に自民党の内部についてである。詳しくは書けないが、端的に言えば、元々の自民党の改憲草案がありながら、安倍の一存で変えられていくことへの不満がある、ということのようだ。例えば安倍は「9条の一項、二項をそのままにして第3項としてそこに自衛隊を明記する」などは、二項の「戦力は保持しない」「交戦権を認めない」が生きており、めざす改正案と違う、などである。
 さて安倍政治はいつまで続くのか。まず安倍の「八方塞がり」は続くとして高野さんはそれを図解で示したが、実に11項目あった。「安倍流のエセ改憲は既に頓挫」「トランプ大接待も貿易押しつけがバレて台無し」「アベノミクス失敗+消費増税」「北方2島返還交渉の大失敗」「日朝首脳会議実現のメドなし」「フクシマ原発事故から8年」「辺野古基地建設行詰り」「年金不足2000万円」・・・に加えて「日韓関係」が最悪の事態に至っているとした。そして秋の自民党役員人事、内閣改造に「やる気満々」か「お疲れ気味」かの兆候が見られるとした。この高野さんの「永田町の裏を読む」をもって注目してみよう。 (続く)

 

 

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2019年8月19日 (月)

デニー知事トークキャラバン in 名古屋

 沖縄、対話、地位協定、日本全体の問題
   沖縄県の主催で、玉城デニー知事の来県「デニー知事トークキャラバン in 名古屋 」が、午後6時50分から名古屋市公会堂で開かれた。780人の席は満席で、立ち見の人もいて関心の高さがうかがえた。
   集会の趣旨は「今、沖縄で何が起きているか、沖縄の人々がなぜ声を上げているか、デニー知事の話を直接、聞いてみませんか?今回のトークキャラバンでは、沖縄の伝統音楽、三線のパフォーマンス演奏の他、沖縄の写真や、基地問題をわかりやすく解説するQ&Aのパネル展示も行います。パネルディスカッションでは、近藤昭一氏(衆院議員、沖縄等米軍基地問題議員懇談会会長)、佐道明広氏(中京大学総合政策学部教授)、山口 昇氏(国際大学教授、元陸上自衛隊研究本部長・陸将)が語る」というもので、司会には愛知県出身の猿田佐世氏(新外交イニシアティブ(ND)代表/弁護士(日本・ニューヨーク州))が務めた。
 発言内容は省くが、二つのことをメモしておきたい。
 一つは、沖縄県知事と3人の顔触れの組み合わせが、沖縄の基地問題の実際の状況、問題、課題をより分かりやすくした。二つには、この沖縄の米軍基地問題は、各方面とも「対話」を通じて“この問題は沖縄だけの問題でない。日本全体の問題”としてとらえ返す、そして「日米地位協定」これがキーワードであったと思う。
 当初、元陸将の山口昇氏がパネリストとして招かれた理由をはかりかねた。これまでの集会形式だと、例えば「辺野古新基地建設」について言えば、反対派の論客、活動家が登壇するのが通例、だからひょっとして山口氏は、推進派に居ながら「内部矛盾」の一部でも語るのかな、そんなことも想像してみたが、それは違っていた。
 玉城デニー知事が強調する「対話」である以上、反対派だけでは「対話」にならない。つまり山口氏は「推進派」といわれるのにはちょっと抵抗があったようで、言ってみれば「反対派の反対の側の人」であろうか。
   このトークキャラバンを全国に投げかけ、手を挙げた中から最初の開催がこの名古屋だったという。もっとも誰かが言っていたが、これ以前に東京で「プレ集会」があったらしい。いずれにしても多忙極める玉城知事が、翁長雄志前知事の遺志を引き継ぎ、さらにこうして全国行脚する、その意欲を買いたいしそれ以上に私たちは応えていきたいものだ。

 

 

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2019年6月 3日 (月)

統一地方選挙を闘って 4人が語る

   第20回リベラル政治懇話会
 4月の統一地方選挙(県議、市町村議)が終わって、それぞれ党、個人で総括が行われたであろう。しかしその総括が公にされることは稀である。その場に参加した人のみが知って、持ち帰ったままが多いのではないだろうか。
 今回リベラル政治懇話会が主催した「統一地方選挙を闘って―4名の候補者は語る―」は、その意味では意義深いものがあった。
   呼びかけ文を紹介すると、「今年は統一地方選、参院選が重なる『亥年』政治決戦の年。 この4月の地方選は、各候補者が立憲民主党、国民民主党、社会民主党そして無所属と分かれて闘い抜きました。 安倍改憲の動きや安倍政権のスキャンダルがまたぞろ続出する中、立憲野党、リベラル派に果たして追い風は吹いたのか? いったい何が『減税』や『維新』を復活させたのか? 「令和」「新天皇」ムードは誰を利したのか?この地方選、4人の候補者が自らの闘いの総括と感想を語ります。 いよいよ7月参院選、もしくは衆参ダブル選挙に臨むうえで、この地方選での経験は聞き逃すことができせん。私たちは、この地方選挙での闘いをふまえ、参院選の闘いに臨んでいかなければなりません。」
 まず当選を果たした4人の報告者を紹介すると小林惠明さん・一宮市議 (1 期) 立憲民主党 / 久田邦博さん・名古屋市議(瑞穂区) (1 期) 立憲民主党 / 山 登志浩さん・江南市議 (4 期) 社会民主党 / 山根倫代さん・日進市議 (3 期) 無所属(新政あいち)そしてコーディネータは、5選を果たした高木浩司さん (愛知県議) 立憲民主党である。また4人を分類すると①女性2名(小林、山根)、男性2名、②多選2名、新人2名、③立憲民主2名、社民・無所属2名、④尾張2名、名古屋・日進2名。⑤年齢は35、39、46、64といった具合。多様なバランスとなっている。
 最初に会の共同代表である近藤昭一衆院議員からあいさつがあって、高木県議から集会の趣旨、選挙結果のデータの紹介などがあり、パネリスト4人それぞれが、自らの選挙戦の経過、政策、体験などが10分ほど語られた。
 全体の論点は「どんな政策で訴えたか」「どんな選挙戦(運動)を闘ったか」「有権者の反応はどうであったか」であったと思う。政策では「子ども、子育て支援」が共通しているようであった。また「高齢者問題」もある一方「若者の“政治離れ”“保守化”」も感じたという。選挙運動では、ポスターの効果には両論あったが、街宣車、街頭スピーチの採用では共通していた。今回の選挙から採用されたチラシについては、枚数制限、配布場所制限、無所属は制限を受けるなどの要件があったが、政策を訴えるツールにはなった。
   一方私が関心を持ったことは、立候補にあたって「政党所属(公認)か無所属か」と、立候補者の地方自治体議員として「国政との位置づけをどう考えているか」であった。
 発言で私は、既存の政党に対する支持率が低下して、(特定課題を掲げた)新しい政治勢力が台頭している気がする。特にヨーロッパでそれを感じる。日本で言えば、維新の会、減税日本であろうか。立憲民主党としてどう受け止めているか聞きたい。もう一つは、「政党公認か無所属か」について。地方自治体では、広く住民の声を拾っていくときに「政党所属」であらねばならない必然性はない、ということがあるにしろ、地方自治と国政との結びつきは多面的でしかも強いものがある。そこに「政党」の介在意義があると思う。「無所属」でも、実は自民党員である例は周知の事実であり、自民党と名乗らなくても「会派」で結束している。であるなら、新党の「立憲民主党」に所属するなら、堂々と名乗ってほしい、それが党を支え党が伸びていく根幹ではないかと思うのである。
 地方議会では「政党色」がない、薄い方が良いと考えが多いように思うが、「政党」であるから政策に反映させることができる面もないとは言えない。ここのところあたりが、党派、無党派の「分水嶺」であり「接点」でもある。私の中に「立憲パートナー」という党内に向けた視点、力点と今でも残存する「無党派市民」という感覚が同居していて、そのことに「違和感」はなく、むしろ目には見えないが私の「立地点」がそこにあるような気がしているのである。

 

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2019年5月11日 (土)

元福井地裁裁判長 樋口英明さん講演会

 原発の危険性、責任は?
 この日、二つの集会が重なっていた。「戦争をさせない1000人委員会あいち総会&講演会」と「樋口英明さん講演会&トーク」である。前者は「安倍政権にかわる新しい選択肢~改憲発議の阻止と参院選での躍進をめざして~」と題して山口二郎さん(法政大学法学部教授)が講演した。後者はいわば「脱原発集会」であり、私は後者の集会に参加した。
 まずタイトルに目がいく。「原発の危険性に向き合う裁判官の責任」って?裁判官は判決を言い渡した後、それがもたらした結果について責任を取ることがあるの?そもそも責任が取れるの?
 樋口英明さんは、福島原発事故後、初めて裁判所が原発の運転差し止めを命じた時の元福井地裁裁判長であり、2014年の関電大飯原発3、4号機に続いて高浜3,4号機の仮処分でも差止めを命じた。しかしその後、この仮処分は却下され、大飯本訴も控訴審で覆された。
 樋口さんは語った。“覆った判決が納得できるものであれば、それはまたそれでよし。だが原発の危険性そのものに切り込んでいない”“原発の稼働が危険であると判断して、差し止めの仮処分を出した。そうであれば、原発の危険性を広く伝えていく責任を感じた”と。加えて“若い人に何の責任もないが、これから先リスクを負わされる。原発の危険性を聞いて知ってしまった私たち(あなたたち)にも、危険性を広く伝える責任がある”と。
 これまでの「原発差し止め裁判」で認めた裁判は2例、認めなかった裁判は15例(2人対15人)であるという。
 最近の原発差止め裁判では不当な決定が続いている。いったい裁判官は何を考えているのだろう。まさか安倍内閣に忖度しているわけではないだろうが、そうした裁判官、裁判そのものへの不信感が募っている気がするが、その点についての質問が後半のトークで集中した。
 この点について樋口さんは、全ての裁判官とはいわないが、裁判官は自分の意思で判断している、圧力に屈する云々はないと明言された。裁判官全体の、もっと言えば司法の自立と裁判官の「矜持」を強調されたのだと思う。それは民主主義の骨格である「三権」の一つ、司法が揺らぐことがあってはならない、「不当な判決」が出たからといって、裁判そのものを忌避し、無用視することへの危うさをいったのだと思う。
 私は、裁判所・裁判官に不信感を持つ一人である。原告になったことはわずかだが、主体的に関わった裁判もあれば支援者の一人としてしばしば法廷に向かっていた時期は長くあった。けれども闘い(運動)が現場を離れて、密室的な裁判所で、膨大な時間を費やすことについていけなくなった。
 ある意味ではそれが“トラウマ”になっているのかもしれない。最近は殆どの公判の傍聴にもに参加していない。情報を受け取るたびに、“やっぱり、法廷を一杯にすることがその裁判の大きな支援となる”と思うのであるが、足が遠のいている。今日の集会で少しは揺り戻された気がするが、その時の状況次第かな。

 

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2019年2月26日 (火)

田島まいこ講演会

 第19回リベラル政治懇話会
 参院愛知選挙区、立憲民主党からの予定候補者でもある田島麻衣子さんの講演会が開かれた。私が彼女を目にした機会がこれで4か所目だから、田島さんは県下を精力的に歩いていると推察される。
 講演は「飢餓と貧困の現場から」というテーマで約50分。パワーポイントを使って、田島さんの仕事を具体的かつリアルに話をされた。それについては、2月18日の「小野沢美希さん後援組織発足」の集会でゲストとして呼ばれて話をされ、このブログで報告をしたのでたのでここでは省く。
  今日の話の中で気になった言葉を拾っていくと「貧富の差が大きいと、社会が成り立たない」「経済大国日本の貧困率とその特徴」「政治を志した理由として、難民問題を解決するには、政治の力が」「貧困の問題では、現場の声を聞くことが大事、現場の声を聞きたい」など。質問者から「貧困問題などに取り組み、解決したいなら、自民党など政権政党から立候補した方が手取り早い。なぜ立憲民主党を選んだのか」については、「この問題を提起したら、真っ先に手を挙げたのが立憲民主党だったから」と答えていた。
  何人かの人が手を挙げて質問をされた。私は指名されて戸惑ったが「貧困の問題は物質的な貧困が多くを占めるが、精神的な貧困も少なくない。日本人の精神的貧困者の最たるお人とは、安倍晋三であると思っているが、昨今の親の子殺しなど、そうした精神的な貧困ついてどのように思われ、それに対する何かアプローチをお持ちですか”と問いかけた。
  田島さんの話の流れからちょっと外れたようで、明確な答えは戴けなかった。あるいは「精神的貧困」の問題は根が深いので、一言では片づけられない、或いは、田島さんの歩んできた世界とは少し離れた世界の問題と言えるかもしれない。であっても私には、実はこちらの方が案外重要ではないかと思われてならないのである。
  田島さん自身も語っていた。ラオスだったかな、道なき道を分け行った先で、物質的には貧しい集落であっても、人々の顔は優しく、幸福そうに充ちていた。日本の自殺者の多さの驚いていたという、“あんな豊かな国でなぜ?”と。
  問題の根は深い。スローガンだけでなく、少しでも解決していく道は限りなく険しい。田島さんにかけてみようではないか。

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2018年12月11日 (火)

山尾志桜里講演集会(4)

 議論すべきテーマいろいろ
 山尾さんのレジュメによれば、このあと以下のように話された。4、憲法9条がすべて、ではない。その他の議論すべきテーマ。①憲法裁判所、②解散権、③臨時国会召集手続き、④同性婚、⑤その他、5、「憲法守れ」と「守らせる憲法」~あなたは「人の支配」と「法の支配」どちらを選びますか~ 6、おまけ:安倍改憲案の真実「安倍総理にとっては何もかわらないが、その他大勢の人々にとってはすべてがかわる」と続いて、質疑に入った。
 参加者にとっても中心的な関心事は憲法第9条であろうが、その他についてももっと議論、検討を深めてほしい条項があったに違いない。というのも、地域におけるこの憲法論議は、集会や講演会、学習会などが長く続けられてきていて、おそらくこの集会に参加している人の多くが、濃淡はあってもかなり“熟知”しているのではないかと推測するのである。そして憲法の前文や第9条を軸にして、現行憲法を「平和憲法」と位置づけ、これを守り、活かすことこそ「戦争への道を阻止」することである認識してきたのではないだろうか。いわゆる「護憲」の立場である。
 もっとも昨今では「護憲」対「改憲」のといった観点の議論から、「自民党の改憲草案」「安倍の改憲論」という明文改憲が前面に出てきて、護憲派の対抗論の構築が関心事ではないだろうか。そこで一石を投じたのが、山尾志桜里さんの「立憲的改憲」論だと思う。これについては部分的ではあるがすでに触れた。
 ここまでに大きな論点は書き留めたと思うので、以下はメモから拾った部分的な応答である。
① 2017年に野党が憲法に則って請求した臨時国会召集は実質的に拒否、そして大儀なき衆議院解散は、手続き上は問題ないとされるが、そのような制度なら制度を変えるしかない。
② 同性婚は憲法第24条の「・・・両性の平等」でも可能である。変えるとすれば「婚姻は、両性の合意のみ・・・」の「両性」を「両者」とすればよい。
③ 総理大臣また与党が変われば法律の解釈も変わるというのはよくない。いわば「人治主義」ではなく「法治主義」であることが「守らせる憲法」となる。
④ 安倍首相は、憲法9条に一項を加えても現行と「何も変わらない」といっているが、それは9条が集団的自衛権も自衛隊も認めているというところからスタートしていて、首相が見ている風景と我々が見ている風景とは違うものなのだ。
⑤ 世論(国民の意識)には「3:4:3」という傾向がある。政府のやること何でもOKと、ダメのものはダメという層それぞれが「3」で、「4」は、どっちつかず、その時の流れで決める、いわば賛否双方の争奪ゾーンということになる。
⑥ 民主党時代の失敗の“トラウマ”が残っている。立憲民主党はそれ教訓としながら、乗り越えていく党だ。
⑦ 「駐留なき安保」も考えてもいいのではないか。
  その他多数の質疑あり。
 私が感じたこと
 最後に私の感じたことを書き留めてまとめとしたい。
 憲法に関する議論は、前文と条文の解釈とその成り立ちから始まり、様々な事案に沿って司法の場で争われ、国会の場で議論が戦わされてきた。そして私自身は法学的な学習に乏しく、労働運動、市民運動の現場で法律、判例と向き合ってきたが憲法に照らして違憲、合憲を争った事案は少なかったように思う。憲法と向き合う時はともすれば「日米安保、基地・沖縄問題」また「靖国、自衛隊・軍拡・海外派兵」などの政治的課題と、「思想差別、日の丸・君が代、報道の自由」などの基本的人権、自由、さらには生活と直結するような問題意識が必ずしも一体的であったとは言えない。
 しかしいささかも進展しない沖縄問題、靖国問題などから近年の盗聴法、共謀罪、安保法などの「戦前回帰」への道が現実化するに至って、憲法、政治、社会、生活、個人が、一線上に並んで私を取り巻いている気がしてきた。
 当面は安倍政権退陣(打倒)を求めるが、安倍退陣後も与党内の安倍路線は継承される可能性は高い。憲法改悪阻止は、まず2019年の参院選挙で与野党の議席を逆転させる、次の総選挙で政権交代を実現するというのが常道だ。そのためには「野党共闘」は欠かせないが、だからといって「野党横並び」といった陣形(鶴翼の陣)が良策とは思えない。私はやはり立憲民主党を軸にしたいわば「魚鱗(ぎょりん)の陣(△)」のような結束した闘いがいいと思っている。
 ともあれ、安倍政権のもとで「明文改憲」が突き付けられている現実に山尾さんが「立憲的改憲」を提起し、国会での論戦にも挑んでいることの意義は大きい。この集会においても、非常に中身の濃い、多岐に亘った内容であったし質疑応答でも山尾さんはきっちりと答えていた。
  私的な面であれこれ言われてはいるが、そのことで潰されることがあってはならないと思うし、これから正念場を迎えさらに前進し続けてもらいたい立憲民主党のエースとして大いに期待していいという感想を持ったのだった。
  山尾志桜里著「立憲的改憲 ― 憲法をリベラルに考える7つの対論」(筑摩書房)を精読したい。 了。

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2018年12月 8日 (土)

山尾志桜里講演集会(3)

 9条関連についての立憲的改憲
 3番目のテーマは「9条関連についての立憲的改憲のコンセプト」である。これについて山尾さんは①憲法解釈の本質部分の明文化、②裁判所の積極化、③日米関係の正常化である、の三つを挙げた。
 日本国憲法が5000ワードと簡潔であることは述べた。だからという訳ではないがいわゆる「解釈改憲」という手法というか邪道がまかり通ってしまっている。安倍首相はそれをまた解釈から明文化へ、例えば「自衛隊の明記」にこだわるのである。憲法条文をどのように言葉として語句として明記しようと、それをまた勝手解釈すれば元の黙阿弥である。そこで山尾さんは、憲法第9条について「改正試案」を提起した。条文は省くが、現行の9条1項、2項を存置する。その上で、追加条項において旧三要件を明記して自衛権の範囲を統制する、とした。ちなみに武力の行使の「新・旧三要件」を明記しておくと、
●武力の行使の「新三要件」
・我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
・これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
・必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
●武力の行使の「旧三要件」
・我が国に対する急迫不正の侵害がある
・これを排除するために他の適当な手段がないこと
・必要最小限度の実力行使に留まるべきこと
 それでは「自衛権」「専守防衛」とはいえ「必要最小限度」とはどこまでのことか、歯止めはあるのか(大脇雅子氏の発言)は、議論の余地はある。ちなみに大脇さん(元参院議員、現弁護士)は、「武力で平和は作れない」という立場を強調されている。
 さて三権分立といいながら、司法における、裁判官の任命権は実質的に内閣が握っている。このように司法の人事権に対して内閣の影響力が強いことが,違憲立法審査を難しくしている。そこで「憲法裁判所」設置もよく話題にはなるが、先に述べたように人事権を内閣がもっていれば、現状と変わらない。また最高裁の中に、憲法判断する独立した組織を持つという案もあると聞くが詳細はわからない。いずれにしても違憲、合憲を判断する独立した中立機関が必要であることは確かであろう。
 三つ目の「日米関係の正常化」については、日本国憲法の上を行く日米安全保障条約という国の成り立ちの根幹にかかわる問題が横たわっているが、それをひとまずわきに置くとして「地位協定」の問題が焦眉の課題であろう。これは正式には「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」といい、略して「米軍地位協定」というのである。
 沖縄米軍基地問題或いは全国の米軍基地問題にとどまらず、日本列島全域で米軍が我が物顏で闊歩し蹂躙するのはこの「地位協定」という「治外法権」的存在である。世界に展開する米軍の基地を抱える他国の例をとっても、日本ほど主権が損なわれている例はないとされ、その弊害は与野党問わず認識されてはいても、いささかも改定されないのはなぜか。基本に国の安全保障、経済依存等について自民党政権の「米国追従」政策がある。加えて地位協定改定はできない(難しい)との説もあるが、そもそも改定に取り組んでこなかったというのが実態である。
 文字通り「日米関係の正常化」とは、この地位協定の改定に正面から取り組むことであろう。「北方4島返還」も、この地位協定(現況は、北方4島に米軍基地建設が可能)がネックになっていることは言うまでもない。 
(続く)

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2018年12月 4日 (火)

山尾志桜里講演集会(2)

 安倍総理の軽薄な言い訳
 2番目のテーマは、「安倍総理の3つの言い訳」とあって①憲法には書いてない、②違憲判決なんて出ない、③アメリカにあらがえない、である。メモが取り切れておらず正確さを期することは困難であり、乱雑であるが思い返してみる。
 まず世界各国には憲法があり、そのワード数(英単語)を見てみると、日本国憲法は約5000ワード、最多はインドの13万ワードといわれている。そのことは、憲法で法律のような細部まで取り決めていれば当然多くなるということだ。話にはなかったが、それは国家の成り立ちが、多民族国家であり、多宗教が入り混じり、戦争・併合の歴史をもって来た国では、解釈の違いによる混乱を防ぐために様々なケースを想定して多くの取り決めをした結果、ワードが増えたのではないだろうか。
 翻って日本の場合、明治以前は聖徳太子の一七条憲法、律令制度、中世の(貞永)式目というのもあった。江戸時代では武家諸法度、○○令という程度の規範、法的なものはあっても、現在に通ずる「憲法」は明治時代になってからである。
 それらから読み取るとすれば日本の場合、幕藩体制から明治になって列強に伍していくための富国強兵、殖産興業の政策の下、中央集権国家となり、帝国主義、軍国主義の「近代化」への道は、「天皇制」「権力の恣意的行使」「上意下達」の国家体制として維持された。一方で「民主主義」の芽生えは、敗戦後の「日本国憲法」の制定を待ってからであり、それまでは「和を以って貴しとなす(聖徳太子)」みたいに争いを法で律するのではない、そんな「風土」が日本国憲法の5000ワードになっている背景ではないだろうか。
 まさに安倍首相は、この「憲法に書いてない」ことを理由(悪用)にして、既成事実と勝手解釈をもって悪法成立に血道をあげてきたといえる。例えば憲法には「専守防衛」と書かれた文言はどこにもないといい、だからといって「集団的自衛権行使」が容認されるということにはならない。
 安倍首相はそうした手法をフル活用して、明らかに憲法が予定してない法案(憲法違反)を成立させているが、それもこれも「憲法違反」と判断する制度がないのも一因である。あるいは山尾さんはこうも言っていた。「私たちは教科書で憲法の、三権分立という正三角形を学んできた。今や司法と行政が接近して2等辺三角形になっている」「仮に憲法裁判所が出来ても、その任命権を内閣が掌握している限り、現状は変わらない」と。
 次にこういった説があるという。「長期政権を維持しようとすれば、アメリカの意向に従わなければならない。つまりアメリカには抗えないのだ。短期政権に終わった内閣はアメリカによって潰された」と。民主党が政権を握ったが、鳩山内閣が1年足らずで崩壊したのは、「普天間基地は国外に、最低でも県外に」が、日米両政府の合意に反するものであったからで、虎(アメリカ)の尻尾を踏んだからか。
 ここまででいえることは、安倍首相は長期政権をめざしているが故に「アメリカ追従政策」に腐心。そして「安倍総理は決して『保守』などではない」と山尾さんは指摘した。
 参考までに「保守は人間理性に懐疑的なので、近代的理念をそのまま現実社会に組み込むことを警戒する。だから、伝統を擁護する。保守とは本来『常識人』のことなんです。一方、新自由主義は、近代的理念である自由を絶対視する。自由を阻害するものを敵視するので、反国家的になります。」(適菜 収・日刊ゲンダイ12月3日)
 (続く)

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2018年12月 2日 (日)

山尾志桜里講演集会(1)

 国会の憲法論議のスケジュール
 12月1日の午後、名古屋で「第18回リベラル政治懇話会-山尾しおり さん おおいに語る」という講演会があって、会場満席の50人余りの人が参加した。山尾さんの講演タイトルは、「権力を統制する『立憲的改憲』」である。
 山尾志桜里衆院議員(立憲民主党)は、冒頭に国会議員として三つの課題を重点的に取り組んでいるとした。それは「1、憲法問題、2、皇室問題-皇位継承、3、子どもの問題-待機児童」であり、今日はそのうちの「憲法問題」を軸に150分にわたって講演と質疑応答が行われた。
  国会-入管法
 最初に、現在開会中の国会の状況について、とりわけ「入管法」の中身も審議も答弁も、全く立法府としての体をなしてない状況が山尾さんからリアルに報告された。この入管法(出入国管理法)は、財界からの強い要請があったであろう深刻な人手不足への対応のため、政府が外国人受け入れ政策を大きく転換しようとしているものである。しかも来年度(4月1日)から施行したいということが先にあって、法案の中身は文字通りがらんどうなのだ。例えば①外国人を受け入れる産業分野が不明確。②5年間の受け入れ見込み人数が示されていない。③外国人に求められる技能の水準とはどんなものなのか。④受け入れ環境の整備方針がないではないか。⑤不当な給与天引きの防止が講じられていない。⑥悪質仲介業者を排除する仕組みが示されていない、というような主な課題が入管法改正案に明記されていないのである。安倍内閣は、それらは省令、政令、通達で示すというが、国会を軽視し、立法の重みを自覚しない、まったく軽薄な国会に堕してしまった与党の責任は重い。(安倍首相は、国会運営の上で多くの不文律、暗黙の了解とされるものを無視してきたといえる)
 憲法論議のスケジュール
 さて本題に入る。安倍首相の頭にあった「改憲スケジュール」の当初は、「発議は2018年の通常国会終盤か、秋の臨時国会、国民投票は2018年末か、2019年春までを想定している」といわれる。それは、2019年には、天皇退位や代替わり(4月30日~5月1日)、3月下旬から4月上旬の統一地方選挙、7月の参議院議員選挙など重要日程が目白押しのため、安倍首相が唱えるオリンピックイヤーの2020年に改定憲法を施行するためには、この日程以外にない」ということだった。現在は今臨時国会で憲法審査会を形だけでも開いてそれを足掛かりして、当初スケジュールに乗せようとしたが、例の下村博文発言「野党は職場放棄(11月9日)」だけでなく、安倍首相は、衆議院憲法審査会の与党筆頭幹事に新藤義孝元総務相、幹事に下村氏と「腹心」2人を起用して石破氏ら外したことで、それまで積み上げてきた与野党の衆議院憲法審査会の流れが淀んでしまっている現状があろう。かくして公明党の北側一雄副代表をして「来年の発議なんてとんでもない」と言わしめ、かの下村氏までが「やりたいけど難しい~」とぼやいたとか。
 山尾さんは、この話に中であったか、もう少し後での話の中であったか「よく“安倍改憲は許さない”といわれるが、例えば来年の参院選挙で与党が3分の2を割ったとして、安倍が退陣しようが、改憲発議が出来なくなったとしても、それで安心していいものではない・・・」という発言が、私の中に残っている。それは安倍も石破も変わるところはないと思っているし、憲法違反と思っている「安保法」が現憲法のもと成立してしまう現実がある限り、(さらに言えば、日米安保、地位協定が現状のままである限り)この憲法問題は何も決着しないと思うからである。
 ということで、今日はここまで。
(続く)

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