« 名古屋市民ギャラリー | トップページ | C&Lリンクス愛知・電子版第16号 »

2018年11月 6日 (火)

映画「ほたるの川のまもりびと」を観る

半世紀の「石木ダム」計画反対の住民の闘い
 場所は長崎県東彼杵郡(ひがしそのぎぐん)川棚町石木川。石木ダムは、佐世保市への水道水供給や、川棚川流域の洪水防止を目的に1975年、建設事業に着手した。県などは未買収の事業用地を取得するため2009年11月、土地収用法に基づき国土交通省九州地方整備局に事業認定を申請。13年9月に認められ、強制収用が可能になった。地権者(109人)らは、15年11月に国の事業認定の取り消しを求め提訴していたが、長崎地裁(武田瑞佳裁判長)は2018年7月9日、請求を棄却し、一部を却下する判決を言い渡した。原告側は控訴した。
 実に半世紀近くに及ぶ住民の闘いである。
 水没予定の川原(こうばる)地区に暮らす13世帯の一人初鹿氏は「ダムありきの計画であることを実感した。下流域の堤防整備や、川の流量を増やすのが先だ。佐世保市の水需要予測は実態と違っており、市には説明責任がある」と批判し、ある集会では地権者を代表し、炭谷猛さん(67)が「県は地域住民の言うことを聞かずに強硬な態度をとり続けている。抗議の声を中村法道知事に届けて見直しを求めたい」と発言している。また京都大名誉教授の今本博健さんは、給水量の過大予測や水害実態がないことなどを挙げ利水、治水両面でダム建設に疑念を呈した。
 こうした地域住民を巻き込んだ「家族ぐるみ」の闘い(住民運動)は、「三里塚闘争」や、この愛知での「設楽ダム建設反対」「境川流域下水道建設反対運動」「新幹線騒音訴訟」などが想起される。他にも全国で基地周辺の騒音訴訟、ごみ埋め立て、河口堰、高速道路建設、最近ではリニア中央新幹線等々、自然破壊、生活破壊、公権力がキーワードとなって、ほとんどが長い闘いとなっている。
 映画は、四季色とりどりの山間部、石木川流域、水没予定の里山「川原地区」の豊かな自然を背景としながら、ダム問題に揺れるこの小さな集落に暮らす人びとの描いたドキュメンタリー映画である。
 「ただ普通に暮らしたい」という住民たちのごくあたりまえの思いが、映像を通じてつづられていくが、過去幾つかの住民運動と一つ違うところは、「外部」からの支援を受けないで、集落全体での取り組みということであろうか。
 もちろん訴訟となれば、弁護士、傍聴支援などもあるが、現地での闘いではバリケードも座り込みも外からの応援はない。それが長き闘いを支えている根源の一つであることは確かだが、「都会人」からみると、そうしたスタイルに重きを置いて、なおかつ「それは石木ダムだけの問題ではない」「強引な手法行使は権力の常套手段」という認識を共有しようとする点で考えさせられる。もっともこの映画の全国上映で、その点は緩和されたとは思うが。
 実はこの映画を観た私は、そのあとすぐマイケル・ムーアの「華氏119」を観て、この映画の政治、社会性、民衆エネルギー、民主主義を強く感じたので、その対比にみる「難題」を抱え込んだ気がしたのだった。

|

« 名古屋市民ギャラリー | トップページ | C&Lリンクス愛知・電子版第16号 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/183099/67356086

この記事へのトラックバック一覧です: 映画「ほたるの川のまもりびと」を観る:

« 名古屋市民ギャラリー | トップページ | C&Lリンクス愛知・電子版第16号 »