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2018年9月22日 (土)

高野 孟講演会が開かれる

 立憲・リベラルの政策の端緒に
 自民党総裁選直後の、時宜にかなった「政治講演会」に80人余の人が、高野さんの話に聞き入った。
 主催がリベラル政治懇話会ということもあって、近藤昭一衆院議員、石田芳弘元犬山市長・元衆院議員の共同代表に加えて、赤松広隆衆院議員も顔を見せていた。
 高野さんの話は、幾つかの節目があったが、メモしきれなかったから、断片的に書き記す。まず何といっても自民党総裁に安倍3選、から入ってその総裁選の過程で散見された「閣僚辞任圧力」とか、地方議員への「反石破、安倍への支持圧力」などの醜態の実態が暴露された。そして党員票で石破が約45%を獲得したことで、安倍圧勝の構図は崩れ、党内にかなりの不満、不人気の存在が明らかとなった。安倍の4選はないから、これからは「レイムダック」(いずれ終焉を迎えることが明らかで、いわば死に体)の始まりとなる。そこで、2019年の統一地方選挙、参院選挙を迎え、その結果次第では、3年の任期を全うできないこともあり得る。
 そこでこれからの安倍の「仕事」はなにか。「憲法改正?」確かに安倍はそう言い続けている。しかし、「集団的自衛権」容認を盛り込んだ安保法の成立によって、「アメリカからの圧力」はなくなって、憲法改正の緊急性はなくなった(安倍と田原総一郎の会談)。公明党も「(安倍の)9条改憲」に積極的ではない。むしろ「日本会議」などの右翼的政治勢力からの、アメリカを利用しての武装化を目指す「戦前回帰」に押され、他に大きな仕事もない安倍は、「憲法改正」やらざるを得ない?という状況だと高野さんは指摘した。
 また経済政策については「アベノミクス」は「円安、株高」程度で失敗続きである。それが分かっているから安倍自身は「この問題に触れられたくない」というのが本音だそうだ。また次々と新しい「矢」を用意したものの、放たれた「矢」はないし、この先の見通しも立っていない。2019年秋の消費税増税についても、三度延期か景気の下降を覚悟して実施するかの選択は、この10月にも決めねばならないという。どうなるか注視したい。
 2019年に予定されている大きな出来事にもう一つ「天皇の交代」がある。これについて高野さんは時間を割いて語ったが、「天皇制」一般だけでなく、彼の「心情」が吐露されて、ちょっと意外に感じた。また「明治から150年」の話の中で「薩長連合」のこととか、「あの吉田松陰はテロリスト」と言い切ったところは、私は「?」と思った。その先の話はなかったが、想像すれば、吉田松陰の「松下村塾」の門下生である、伊藤博文、井上馨、木戸孝允、山縣有朋、山田顕義ら長州藩士らが中枢にいた「明治政府」の否定的部分を指してのことだと思う。幕末から明治にかけての「歴史観」は、司馬遼太郎に代表される説がこれまで有力であったが、次第に当時の状況が明らかになるにつれ、正反両面が語られているのが現状ではないだろうか。「吉田松陰はテロリスト」はその一部であり「皇国史観」「アジア蔑視」も聞かれるが、列強の圧迫下での政治の舵取りで、伊藤博文、井上馨、木戸孝允、山縣有朋、山田顕義らの仕事は、当然全否定とはならない。やはり「現在に活かす」更なる検証・研究課題であろうと思う。
 さて今後の政治的展望について、安倍の「レイムダック」化はそれとして、「明治から150年」を振り返るとき、前半の75年は、いわば「第1回近代化」といえる時期で、結果的には戦争の時代であり、失敗といえる。後半の75年といえば「第2回近代化」の時期で、アメリカ一辺倒であり、これらはいわば「大国主義」といえるもので、いずれも失敗だったというのが高野さんの分析。
  ではこれからの日本はどうあるべきか。リベラル派は、その展望を出さねばならない。大国主義・国権優先から小国主義・民権へ移行すべきではないか・・・。(この議論は、展望を示す話の序である)
 質疑に入って、いわば「リベラル的経済政策とは?」についての質問。「市場原理型」ではない「北欧型福祉社会」もその一例あるが、問題がないとは言えない。経済政策はひとことでは片づけられない課題である。
 次に「政権交代」を目指していくが市民として何をすればいいのか、消費税をゼロに、所得税は累進課税に、法人税減税をやめて元に戻す、というのはどうかという質問。高野さんは、消費税は、ヨーロッパでは「付加価値税」として広く採用されている。また直接税(所得税、法人税、住民税など)と間接税(酒税、たばこ税、揮発油税など)の関係(直間比率)もあり、消費税ゼロがベストともいえない。国として政策的選択にかかわる。最近「べーシックインカム」が話題としてあるが、現実的かどうかは別として一つの形であろう。
 最後に、国家体制についての質問があった。一言で言えば、「中央集権国家(一極集中)」からの脱却といったところか、質問者は「幕藩体制」を例にしたが(聴き間違い?)、権限の地方への移譲、例えば、最近は話題にならないが、「道州制」もその一つだろう。つまり、地方を再生していく、それは最末端の自治体に権限を渡していく。例えば、村で足りない所は県が補完する、県で足らない所は道州で補完する、道州で足らない所は国が補完する、いわゆる「補完性原理(サブシディアリティ)」という方法である・・・。
 ここまでであるが、話が難しい面もあって、私の理解不足、誤解もあるかもしれないが、重要な要素を含んだ講演と質疑の時間であった。リベラル派=立憲民主党の政策論議の高まりが必要と感じた集会でもあった。

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