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2018年6月 7日 (木)

続・「平和基本法案」要項の学習

  第15回リベラル政治懇話会~講演・飯島慈明さん
 前回(3月7日)に大脇雅子さん(元参院議員、弁護士)からの提言(「平和的生存権保障基本法骨子案」)を受け「平和基本法案」要綱の、条文に踏み込んだ読み解きがほしいと、今回その執筆者のお一人、飯島慈明さん(名古屋学院大学教授、戦争させない1000人委員会事務局次長)のお話を聴いた。
  なお、「平和基本法案」は、雑誌『世界』に二つの提言(「平和基本法をつくろう」<1993年4月号>と<2005年6月号>)として掲載された。この要綱は、その後4人(前田哲男氏、飯島慈明氏、児玉克哉氏、吉岡達也氏)の執筆者の方が「第3次提言」として討論し共同作業としてまとめたものである。<2008年8月30日>
  つまり10年前(政権交代の前兆時期?)のことであるが、その時の政治状況をとらえ返し、こんにちの政治状況の中でのこの学習は意義深いものがあった。
  前段で飯島さんは、「インターネットの影響力」について、沖縄の例(保育園へ部品落下事件)から“大”であり、無視できないとした。また、旧社会党の石橋政嗣委員長の「非武装中立論」を参考資料(今とあまり変わっていない?)として紹介した。
 要綱は前文から始まるが、この種のものに「前文」がつくには珍しいという。「・・・ここに、日本国憲法の精神に則り平和基本法を定め、安全保障の目的を明示し、基本原則を確立するとともに、憲法のもとで創設維持されてきた自衛隊の改編縮小を実施することにより、真に憲法にふさわしい国民の安全保障を確立させるため、この法律を制定する。」とある。
 条文の読み解きは省くが、議論の核は二つあったと思う。一つは、「平和の理念と現実」で、もう一つは「安全保障と自衛隊の位置づけ」である。その二つの共通項は「国民の支持を得られない政策は、継続的なものとはならない」と指摘し、飯島さんはこんな例を示した。「社会党の村山首相が安保条約、自衛隊を承認せざるを得なかったのは、『批判』だけで、『対抗策』がなかったから」と。
 では現憲法の「平和」については、「前文」と「第9条」に絞られるが、第9条の理念を体現する実際の「政策」の「法案要綱」は以下の7項目。①国連中心主義、②集団的自衛権の禁止、③非核三原則、④武器輸出三原則、⑤宇宙の平和利用、⑥海外派兵の禁止、⑦文民統制、である。安倍・自民党政治と対比してみるとわかりやすいかも知れない。
 国・国民の「安全保障」については、幅広く奥深い課題があって簡単ではないが、それだからこそ現実の政策、例えば、「イラク特措法」等の海外派兵法の廃止、自衛隊装備の拡充の中止、見直し。海外の自衛隊の撤収。日米地位協定の改定、東アジアの安全保障の策定等々に向き合いっていかねばならない。そうした「政策(対案)」
は欠かせないといえる。
 「対案」の大きな課題は「自衛隊」の位置づけ、扱いであろう。憲法9条の理念・解釈からすれば、自衛隊は「憲法違反」という主張が、あながち極端、飛躍、突飛なものとは言えない。だが自衛隊は存在し、世界有数の戦力(軍事力)を持ち、5兆円を超える防衛費(軍事費)を持っていること、そして本務ではないにしろ災害時の出動に国民の支持があるのが現実である。ではどうあるべきか。
 「法案要綱」の第8条に関連するQ&A「自衛隊をどのように縮小・再編するのですか?」について、回答はまず「防衛省」を「安全保障省」に名称変更する、つまり「体を表すにふさわしい名にする」ことと、自衛隊を「安全保障隊」として、「国土警備隊」「平和待機隊」「災害救助隊」に再編し、段階的に縮小する、としている。
 問題は「国土警備隊」であろう。要綱では「日本への主権侵害行為に対処することを主たる任務とする部隊」とあり、装備も攻撃的兵器(F15⇒F35、イージス艦、空母等)は保持しないとした。陸、空は別として、現在の海上保安庁プラス、といったレベルか。在日米軍は撤退が原則であろうが、その場合の戦略的「空白」を埋めるには、自衛隊の増強ではない、やはり「外交努力」しかない。その意味では、安全保障のもう一つの柱は「外交」であり、要綱の第二章で、信頼の醸成、平和外交の原則を定めているが、政策論の領域であっても、外交官の「増員と資質の向上」の文言があってもいいかなと思った。
 質疑で私は、「無防備地区市宣言(無防備都市宣言)」(ジュネーブ諸条約追加第1議定書第59条に基づく)について質問した。その意図は、冒頭に示した「平和の理念と現実」の問題を考えるとき、この「無防備地区市宣言」は、あまりに現実離れしていると思っていたからであり、その点の考え聞きたかったわけである。大脇さんから丁寧なお答えを戴いたが、そこには無抵抗主義(非暴力・不服従・非協力)が心底にあると思った。さらに戦えば、味方にも敵方も死者が出る。殺してはいけない!ヒューマニズムの心を説かれたのだと思う。
 私は異論も反論もなかったが、「理念と現実」の乖離を改めて感じて、その「乖離」を狭める、なくすることが現代人、つまり私(たち)に務めだと思ったのであった。

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