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2018年3月 6日 (火)

時宜にかなった高野 孟講演会

 朝鮮半島の緊張緩和と東北アジアの平和に向けて
 日朝教育・文化交流を進める愛知の会主催、ジャーナリスト・高野孟さんの「朝鮮半島情勢と日朝関係」をテーマとする講演会が開かれた。
 折しも、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が派遣した特使団と、共和国首脳との会談が進行していて、帰宅してみれば、「文大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が4月末に、南北軍事境界線にある板門店(パンムンジョム)で首脳会談を開催することで合意した」「首脳間のホットライン設置でも一致した」「米国との非核化をめぐる協議と米朝関係正常化のための対話に応じる用意があると表明するとともに、対話が続いている間は核実験や弾道ミサイル発射を凍結する意思を示した」さらに「米韓が4月からの合同軍事演習を例年と同じ規模で実施することを『理解する』と表明した」とあった。
 高野さんはパワーポイントを使って「朝鮮半島で『戦争』を防ぐ方法」といういシンプルで明快なテーマを、朝鮮半島と日本が関わる歴史、マスコミの体たらく、韓国の文大統領の政治・努力、共和国の内情・立場、そしてトランプ大統領と「日本は?安倍は?」と説いていき、何が平和解決のポイントなのかにアプローチしていったのであった。
 私は、去る3月1日に開催された、康宗憲(カン・ジョンホン)さんの講演会の報告と感想などを4回に亘ってブログにアップして、私なりのまとめをしたが、康さんと高野さんの話がほぼ一致していることに、ある種の感動を覚えた。加えて高野さんが、朝日新聞ソウル支局長・牧野謀なる人物の近刊「北朝鮮核危機!全内容」なるものが、いかに歴史に疎く、情勢分析を誤認しているかを「呆れた朝日ソウル支局長」「歴史を知らないことの罪」として断罪した。さらに昨今のマスコミ記者の取材能力の劣化はひどいもので、安倍政権の「マスコミ弾圧」以前の問題だという。記者会見で政府側と質疑、問答をする能力に欠け、政府側の一方的な発表をそのまま記事化している傾向に危機感さえ覚えると。私を含め多くの参加者は、“えっ、あの朝日が?”と思ったであろうし、マスコミを情報源としていることが多いであろうから、内心で“う~ん”と唸ったのではないだろうか。
 では世界の戦略家、外交評論家らは「北朝鮮」「金正恩(キム・ジョンウン)」をどのように見ているのかについて、断片的ではあるが紹介された。一例を挙げれば、アメリカ・カリフォルニア州にあるランド研究所・上級研究員・マイケル・マザールさんは、「金正恩は狂人か?」の設問に「・・・北朝鮮に対する抑止は機能するし、すでに機能してきた。この政権は残虐で凶暴ではあるけれども、非合理ではないし、それほど予測不能というものでもない。北が何よりも優先しているのは政権の存続であり、だとすれば古典的な抑止こそが北の核能力に対処するための完璧な出発点になる」つまり、これは、(共和国は)話が通じる相手だというのが世界の戦略家の多数意見だと高野さんは言うのである。なんだか、安倍首相や菅官房長官らの口癖とはずいぶん違うように思うのだが。
 さて前から“何やってんだろう、いい加減にせんか、○○!”と思っていたのが、政府の「Jアラート」とその「避難訓練」である。そもそもICBM(大陸間弾道ミサイル)が、朝鮮半島北部からアメリカ・ワシントンに向けられて発射されたとしても、日本列島の上空は通過しないと説明されて“目からうろこが落ちた”ものだった。地球儀を持ち出して朝鮮半島北部とワシントンを直線的(当然円弧になるが)に結べば一目瞭然であろう。またミサイルの破片落下あれこれも、ほとんどが大気圏に落下して燃え尽きてしまうものだと。
 では共和国が「日本に向かってミサイルを撃ってくる」とまことしやかに語る御仁も多いようだが、高野さんは断言する「共和国は(ハッキリ言って)日本を全く相手にしていない。安倍が『重大な事態』『新段階の脅威』と騒ぐのは滑稽ですらある」と。「脅威」とは、康さんも言っておられたが、「脅威=能力×意思」である。つまり、共和国には日本にミサイルを撃ち込んで壊滅させようとする合理的な理由がない。米朝間で戦争が起き、米軍基地が狙われることはあっても。
 歴史検証によれば、アメリカが「朝鮮戦争」で、先制的に核兵器使用のオプションを多く用意したことが明らかにされているが、その“狂気”は、アメリカの「良心」が阻止した。そのその“狂気”は現在もあり続けてはいるが、むしろ心配なのが「“狂気”のアメリカに追従一辺倒」の日本政府である。
 最後に、南北会談が順調に進んでいってほしい。だからその妨げをしてはならない。安倍や菅の“したり顔”はうんざりで消えてほしい。日本の外交を立て直してほしい。私たちはもっと自覚していくべきだ。

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コメント

いつもブログを読ませていただき、知見の高さと深さに感心しています。朝鮮半島の問題についてのお話は私にも大きな学びになりました。朝鮮半島の今につながる分断の責任は「日本」にあると、歴史を少し振り返れば明らかだと思います。オリンンピックを舞台にした南北対話の道が開け、そこから北朝鮮と米国が直接話すという展開は私には、一筋の希望にも感じられます。トランプの‘思いつき政治’に危うさを感じながらも、ある種、彼独特の「とらわれのない・軽さ」からの、「ひょうたんからこま」をわずかに期待してはいけないのでしょうか。私の目から見れば、文在寅の柔軟な外交姿勢は確固とした統一への道が感じられます。一方、安倍晋太郎の国内外の政治姿勢には、何の知性も展望も感じられません。キムジョンウンが、なぜこれほどの国際社会からの圧力にもかかわらず、また人々への暮らしを追いつめている国内社会にもかかわらず、あのように笑っていられるのかは不思議でなりませんが、ただの強がり以外の「信念」があるのだろうかと。
ブログにありましたように、本来朝鮮民族が持っている民族性?とその歴史を日本人が直視することで得られる敬意をしっかり持ちたいと思います。うまく書けませんが、今、日本人一人ひとりが考えなければならない時が来ていると感じました。
「北朝鮮とオリンピックとテロを言えば、日本ではなんでも通る」とヨーロッパのジャーナリズムが見ているといいます。そして私の周辺でも、それに簡単に振り回されている人がいます。そしてもっと致命的なのは「新聞を読み、考える時間がない」人の存在です。
これからも、ブログを楽しみにしています。よろしく。

投稿: キャサリン | 2018年3月10日 (土) 09時53分

キャサリンさま。
いつもお読み戴きありがとうございます。
「知見の高さと深さ」などとんでもありません。浅学の私ですが、生業から離れて20年、地域の様々な活動に身を置いて、そこで得た経験、教訓、感動などを文字にして積み重ねたものが、幾らか生きている感じです。
いわば「下町」で育った少年期では、貧困とか差別を受ける側にいたこともあって、割と敏感かなと思っています。「部落」のこと、中国人、朝鮮人の蔑称も聞いてはいましたが、口にはしませんでした。
また私は、「天皇制」には違和感を持ている側ですが、天皇そのものには別の感情があって、朝鮮・民族・文化に対する天皇の見識は、安倍晋三ら自民党、右翼の人たちとはくらぶべくもありません。
 今回は、私自身の認識を検証する意味もあって少し掘り下げてみました。TOMO

投稿: | 2018年3月10日 (土) 13時12分

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