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2017年7月16日 (日)

「高プロ制度」を考える

 政府・財界の仕掛けに連合が乗る?
  安倍首相と神津里季生連合会長が会談して、「高度プロフェッショナル制度」などの労働基準法改正案修正へ動き出したと報道された。
 すっかり労働運動から疎くなってしまった私であるが、それでも「高プロ制度って何だ?」と思ったし、自民党のトップと連合会長が会談していいことってあった?と勘繰ってしまうのは、永年の習性かもしれない。
 そもそも「高度プロフェッショナル制度」とはどんなものかを検索してみたら、「高度プロフェッショナル制度は、高度な専門的知識があり、年収が一定以上の人が対象となります。労働基準法では企業が従業員に1日8時間、もしくは週40時間を超えて働かせた場合は、一定の割増賃金を支払わなければならないと定めています。一方、高度プロフェッショナル制度の対象者は、働いた時間ではなく成果で評価されるため、労働時間の規制から外れ、残業や休日出勤をしても割増賃金は支払われません。この制度の対象は、年収が1075万円以上で、証券会社のアナリストやコンサルタント、医薬品開発の研究者などが想定されていて、具体的には法案の成立後、厚生労働省の省令で定められる予定です。制度を導入することによって効率的な働き方が可能となり、生産性が高まるという考えがある一方で、企業が残業代を支払わなくてもよくなることで、働く側は、より長時間労働を強いられることになるのではないかという指摘もあります。」(7月13日 NHK NEWS WEB)
 改正案が出てからこれまで審議が進まなかったのは、一つに、連合の姿勢に同調してきた民進党は「残業代ゼロ法案だ」などとして撤回を求めていたし、労働組合がない企業の正社員や非正規労働者などで作る「全国コミュニティ・ユニオン連合会」は12日夜、連合本部に反対声明を送ったとのことです。この中で鈴木剛会長は「連合はこれまで高度プロフェッショナル制度の導入は行わないと明言していたのに、制度の容認を前提とした修正案を政府に提出することは、これまでの方針に反する」などとしています。そのうえで「長時間労働の是正を呼びかけてきた組合員に対する裏切り行為で、断じて認めるわけにはいかない」として強く批判しているという。
 私の知るこれまでの“グローバル化”“規制緩和”“労基法改正(改悪)”という流れの中で、最初は業種・業務内容など対象範囲に規制をかけ“歯止め”などと吹聴していたが、法案が成立してしまうと、なし崩し的に適用範囲が広がっていったと記憶する。(104日の休日、1075万円以上という年収もいずれ・・・)あるいは、どこかに抜け穴的な「解釈」が織り込まれていて、「過労死」のような深刻な事態が現実化し、裁判で判決が出るまで経営側の“やりたい放題”と、働く者の犠牲が積み重なるという悲惨はあまりにも至近の例ではないか。
 また、政府と連合のトップ会談が行われたことについて、経済同友会の小林代表幹事は、長野県軽井沢町で記者団に対し、「これまで2、3年塩漬けになっていたので、連合の神津代表と安倍総理大臣が最終的な妥協点を見いだしてもらえれば非常にありがたい」と述べたというのも、この内容が経営側の願望に沿っている証といえるかもしれない。
 もう一つ気になるのは、「高プロ」を「残業代ゼロ法案」と強く批判してきた連合が、条件付きで導入の容認に転じた経緯でこの方針転換を主導したという次期会長の有力候補の「独走」についてである。検索によれば、今回の安倍-神津会談の要請は、逢見(おうみ)直人事務局長や村上陽子・総合労働局長ら執行部の一部が主導し、3月末から水面下で政府と交渉を進めてきた。逢見氏は連合傘下で最大の産別「UAゼンセン」の出身。村上氏は、連合の事務局採用の職員から幹部に昇進してきたという人物。逢見氏は事務局長に就任する直前の2015年6月、安倍首相と極秘に会談し、批判を浴びたこともある。労働者派遣法や労基法の改正案に連合が反対し、政権との対立が深まるなかでの「密会」だった。当時も、組織内から「政権の揺さぶりに乗った」と厳しい指摘が出ていた、という。
 内部事情については、確かめようがないので、“そういうこともあったのかな”としか言いようがないが、民主的な労働組合は、少なくとも「重要政策」については、機関審議と決定・承認が欠かせないし、最低でも主要な産別や有力な単組との事前の話し合い(根回し)くらいはしたであろうが、今回はそれもないまま、ごく一部の者の「独走」らしいのは、何ともいただけない。
 いずれにしても、「高プロ制度」は、政府・財界が仕掛けた労働組合の組織性、結束力、戦闘性を内から崩すかもしれない新たな“布石”の一つになることを私は危惧する。

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