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2016年7月23日 (土)

アーサー・ビナード氏の講演

 日進市“平和のつどい2016”に参加
 今日の午後恒例の、日進市と「にっしん平和を考える会」共催による、部分参加であるが「平和のつどい2016」に出かけた。協力団体に「ピースサイクルinにっしん」も加わっているから、ピースサイクルの仲間にも参加を呼び掛けてのものだった。
 この日の午後の催事は、まず総勢30人余の「群読」で、「8月6日になくしたことばを『さがしています』」という、詩人アーサー・ビナードさんの絵本から引いたものを朗読したものだった。広島への原爆投下でなくしたものは無数にあるが、広島平和記念資料館の地下収蔵庫に残された2万1千点のなかから14点の「モノ」を選びだし、「原爆が投下された時間でとまった時計」「食べられることはなかった黒こげのお弁当」「誰かの鼻の上にかかっていただろう眼鏡」それらモノたちがその持ち主のことを語る言葉を通訳し紡いだ写真絵本、それが「さがしています」であり、この日の映像と朗読だった。

 午後1時30分から約2時間、アーサー・ビナードさんのメインは、丸木位里、俊さんの「原爆の図」から切り取ったものを「ちっちゃいこえ」として紙芝居に仕立て、自ら上演し平和を語るというものであった。見た人からの意見を参考に幾度が修正を加え、未完の途上にあるとのことだった。
 この「紙芝居」をはさんで、長野県阿智村の村長が残したという135枚の「戦時ポスター」を見たアーサー・ビナードさんは、「今、1億という言葉から、あなたは何を思い起こしますか」と会場に投げかけ、二つのことを話された。
 一つは安倍首相の「1億総活躍社会」を言い換えて「1億総カツアゲ・・・」と皮肉り、もう一つは、時代をさかのぼって「1億総白痴化」「1億総懺悔」「1億総動員」「1億火の玉」そして「1億玉砕」にたどり着き、ここに出てくる「玉砕の“玉”」という言葉を追求していくのだった。
 この玉砕の“玉”は、アッツ島の戦いで日本軍守備隊が全滅したことを大本営が発表するときに使った言葉が最初ともいわれ「瓦でまっとうするより,玉のように美しく砕ける」という意味合いでも使われたが、“玉”はもちろん天皇(そして戦争指導者たち)のことである。そして硫黄島やサイパンで「玉砕」したのは、「玉砕の“玉”ではない、砕け散ったのは兵士」であり、「“玉”のために死することが栄誉であり、生き残ることは恥辱」という精神論を徹底させた。だから、長い間「戦地から生還(復員)した兵隊たちは、それを恥とし、戦争について語ろうとしなかった」という。
 全滅を「玉砕」と言い換えたように、戦闘に敗れて撤退することを「転進」といい、避難を疎開、敗戦を終戦、占領軍を進駐軍、戦後も軍隊を自衛隊といい、階級も大佐を一佐、戦車を特車、駆逐艦を護衛艦、最近では戦争を「有事」・・・と言い換えて、状況を曖昧または誤導させてきた日本、そして今。
 詩人でもあるアーサー・ビナードさんは、こうした「言葉」について敏感であり、本質を見極めようとする。あるいは「発する側」と「受け取る側」の違い、例えば落とす側の「原子爆弾=核爆弾」は、広島では「ピカドン」というように。そこには「感情(人間性)を持たない」権力者と言葉と感情(心)が一体化している民衆との違いを知ってほしい、知るべきだ、騙されていけない、と言いたいのではなかったろうか。
 次に、オバマ大統領の広島訪問について厳しく言及した。端的に言えば「資料館見学はたったの7分、オバマは何のために広島に行ったのか」「あのスピーチは既成のもので、広島訪問の“所感”ではない」「核廃絶を言うなら、核保有国の大統領である自分の口から言え」等々。
 そしてアメリカ大統領選挙についても触れた。トランプ氏を支持し、なぜ熱狂する人々がいるのか、逆にヒラリー・クリントン氏のやってきたことは何だったのか、それを見れば、ヒラリーは支持できないと。(だからトランプに問題ないかといえば、そうではないと私は反論したくなったが)

 話を聞いていて私は、「言葉」の意味をもっと知らなければいけない、大事にしないといけない、確信的に選ばなくてはいけないと思った。そして「テーマ」をしっかり持つこと、その「テーマ」の広がりを追いかけることも欠かせない気がした。
 そして現地に足を運び“広島、長崎忘れまじ”さらに“全ての核の廃絶”の後退は許すまじ、とも。

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