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2015年7月20日 (月)

BLACK or WHITE

 浅田次郎の新刊を読む
 昨今の安保法制(戦争法案)、特定秘密保護法など、言論の自由が脅かされる状況が差し迫っていることもあって、日本ペンクラブの会長として、マスコミに登場する機会が少なくない浅田次郎である。
 彼が「週刊新潮」2013年10月3日号から2014年7月24日号まで連載し、2015年2月に単行本として著したのが「BLACK or WHITE」である。
 書籍についている帯は、本についてのキャッチコピーなどが刷られた帯状の紙のことであるが、それによれば「あのバブルの夜、君はどんな夢を見ていた?」「経済の最前線で夢現の境を見失った商社マンの告解がいま始まる。近代日本の実像に迫る渾身の現代小説」「・・・三代続く商社マンだった彼の輝かしい人生を暗転させた美しい悪夢、白い夢と黒い夢、そしてその果てに見たこの国の本性を――」「‘夢を見なければ人生の三分の一は空白だ。それは罪だと思わないか。’」
 元満鉄理事の祖父を持ち、商社マンの父から莫大な遺産を引き継いだ三代目商社マン・都築君が、その営業活動の旅先で見た「白い夢と黒い夢」を「私」に聞かせるのである。何故か出張先のホテルではいつも白と黒の枕が用意されていて、結局どちらの枕も使うことになって、疲れた体をベッドに沈め、「黒い夢、白い夢」をみるのである・・・、それが「夢か現(うつつ)か」わからないままに。
 夢を見る場所は、スイス・レマン湖、南洋のパラオ、インド・ジャイプール、中国・北京そして京都。
 私が感じた圧巻は、北京での夢・現。中国が改革・開放経済で急成長していく初期段階で、商社マンとして成果をあげられない、同僚に出し抜かれるなどして窓際に追いやられた都築君。だがある時、当時としては未開の地・中国へ、‘見聞’程度で追いやられる。ほどなくして、国家的に展開される経済成長策に乗って、中国市場が第一級の経済活動拠点となっていく。起死回生の思いで商談をまとめいく都築君であるが、その陰には、現地で雇った優秀な若いスタッフの存在があった。その中国人スタッフにすっかりほれ込み、商社として、商社マンとしてのノウハウを伝授していくのであった。
 そしていよいよ、中国市場の拠点として大きく飛躍しようとするその日、その中国人は忽然と姿を消してしまった。彼こそ中国人民軍の現役の陸軍大尉であった・・・、つまり国家的・産業スパイだったのだ。都築君の立場は・・・。
 それからラストの京都では、白い夢だったか?
 浅田は、舞台をバブル経済においていて、その実像を都築君の夢として語らせてはいる。それはそれとして、浅田が語るもう一つの舞台は、「‘夢を見なければ人生の三分の一は空白だ。それは罪だと思わないか。’」と言う所にある気がする。小説家としての浅田次郎の人生は、小説の世界と私生活、この社会の在りようが混然一体となっており、時にそれが「夢か現か」線引きできない空間に立ち入ってしまうこともあるといっているのではないか。
 ひょっとして私たち多くの民衆は、そんな世界に浮遊していて、悪政「アベ政治」も「夢か現か」わからないままでいる・・・。それでなくても「夢であってほしい悪夢と、現実となって見せてほしい美しい夢」は、人間の「見果てぬ夢」ではなかろうか。

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