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2011年12月 7日 (水)

水曜フォーラム12月例会・2 沖縄、私の視点

  私が提起した「5つの視点」
  第1の視点 ウチナンチューとヤマトンチュー
  「沖縄は中央政府の質草だ」
  大田昌秀元沖縄県知事は、「歴史を勉強していて一番感じるのは、沖縄の人々が人間扱いされてこなかったということだ。中央政府の何らかの目的を達成するための質草として、物として沖縄が扱われてきた……」などと語ったという。(2011年11月30日付「琉球新報」・添付資料)
 田中聡沖縄防衛局長の暴言「犯す前に・・・」、一川保夫防衛相は、「1995年事件の正確な中身は詳細には知らない」答弁などは、沖縄返還40年になろうとする現在もなお存在しつづける「ヤマトンチュー」の「ウチナンチュー」への姿勢の現れであろう。それは政府高官、官僚だけのものでなく、私たちの身近にもあることを肝に銘じる必要がある。
  第2の視点 敗戦と沖縄の米軍統治、1972年の返還
   「明治時代に沖縄が廃藩置県で組み込まれる時に、琉球王府は猛烈に反対した。その大きな理由は、軍隊を持ってくるからだった。熊本の第6師団の分遣隊を常駐させると。他府県のように、近代国家を形成するための廃藩置県ではなく、同胞として迎え入れるのでもない。つまり、土地が欲しかったのだ。」(大田昌秀)
 そして沖縄戦で米軍が占領し、1972年の返還まで米軍統治がおこなわれた。その後の、燃え上がった沖縄県民の「祖国復帰」運動を見るとき、「占領統治下」の社会とくらしがどんなものであるかに思いが至らなければならない。さらに、「中央政府」の琉球処分、本土防衛の捨て石とされた沖縄の気持ちを思えば、基地と核を容認した「沖縄返還」は、その後もせめて「本土並み」への外交交渉が必要であった。しかし、歴代政権はそれを怠り、現在では、米軍基地強化に手を貸し、なおかつ、自衛隊の拡充を進めているのが実態だ。
 第3の視点 日米安保と米軍基地
 沖縄から米軍基地を撤去させるには、基本的には外交交渉によるが、手続き的には「日米安保条約」の破棄という道筋であろう。だがそれは日本の国家体制の根幹にかかわる問題である。日本の安全保障をアメリカの核と軍事力に依存する限り、日本政府は、アメリカの世界戦略(アジア・極東戦略)に組みし、その人質(質草)として沖縄(+全国各地の基地、港湾施設の提供)を差し出さざるを得ない。
 では、どうすればいいのか、その答えは、
①沖縄の基地負担の軽減を図りつつ、産業基盤、社会基盤の整備・振興を進めることと引き換えに、沖縄に引き続き基地存続の受容を求める(現在の政府方針)。だが、「基地負担の軽減」の一つとして、「地位協定」の見直しと、新たな基地、施設の建設を認めず、普天間基地の海外、最低でも県外移転は必須条件であろう。
②日米安保解消(破棄)のための「自主防衛」政策論があるが、「仮想敵国」をロシア、中国、共和国(北朝鮮)にしろ、あるいはアメリカにするにしろ、軍事力で周辺国を凌駕することは、もはや財政上からも、外交上からもあり得ないことは自明である。
「核武装」が、「自主防衛」への唯一の道との主張があるが、そのことは、「平和国・日本」の信頼性の崩壊により、世界から、アジアから孤立した道を歩むことになる。それは、かつての戦争責任を忘我し、その後に積み重ねてきた日本の「平和外交」の挫折と転換を意味する。選択肢としてはあり得るが、禁忌なものとして選択すべきではない。
③残された道は「外交努力」しかないだろう。(第5の論点で述べる)
  第4の視点 南西海域(東シナ海)の波高し
  防衛省が年末の新防衛大綱に明記する陸上自衛隊の定員を、現行の15万5千人から2千人増員する方向で財務省と再調整している。
 増員分は事もあろうか沖縄の陸上自衛隊を現行2千人から倍増し配備するためのものという。
 航空自衛隊も那覇基地の戦闘機を20機から30機に増強を計画している。米軍基地の過重負担に加え、米軍の新基地どころか自衛隊までも強化する。容認できる話ではない。
 防衛省は当初、陸自定員を1万人余も増やす要求を出していた。
 尖閣諸島での中国漁船衝突事件を追い風に、中国脅威論をあおり、組織の肥大化を図る思惑があまりに露骨だ。
 さすがに与党内からも「他国軍の日本上陸侵攻が想定しにくい現在、陸自大幅増の理由は見当たらない」との批判が出て頓挫した。
 ところが、めげずに今度は2千人の増員再調整である。その論拠が宮古島から最西端の与那国島までを「防衛上の一種の空白地帯」とした2010年版防衛白書だ。(琉球新報11/23)
 中国との外交関係については後述するが、このことは、日本の保守層、“タカ派”や自衛隊上層部に、常に軍拡思想が“地殻運動”としてあることを示している。そして、それは、対ロ・北方領土問題、対韓・竹島(独島)問題も同じであるといえよう。
 もう一つ注目すべきは、こうした日本の「権益」が、アメリカの世界戦略(アジア・極東戦略)と符合していることである。アメリカが中国警戒論を展開すれば、現在の日本はそれに追随せざるを得ない。ここに日本の「自主自立」が問われるのである。そのためにも日本の外交力を飛躍的に高めねばならない。
  第5の視点 外交小国日本
  さて、「外務省の資料によると日本の外交官数は5500人。米国(2万2千人)の4分の1。フランス(1万1千人)の半分。ドイツ、中国、ロシア(各約7千人)の8割の水準だ。
 『外交小国』の実態は、既に尖閣や北方領土問題で露呈している。
 同じ増やすなら軍隊ではなく外交官であり、政府が強化すべきは軍事力ではなく外交力ではないか。
 武力衝突を前提に軍拡競争に踏み出せば、日本は新たな『戦前』を迎えることになりかねない。」(琉球新報11/23)
 幕末から明治に至る開明期の日本は、「アジアの小国」であったが、海外に有能な人材を派遣し、世界の情勢を知り、学び、清(中国)の惨状を見て、列強の脅威から防御すべき必死の外交努力を重ねた。
 「経済(貿易)立国・日本」というが、経済もまた外交と表裏の関係にある。「政経分離」は一時的、部分的にはあり得るが、「国と国」との交流であるから、政治(外交)と経済(貿易)とは、全く別物というわけにはいかない。
 現在の日本が将来に亘って立ち行くためには、技術(ものづくり)をもって交易を盛んにする道が大道としてあるが、それは、国力(軍事力)を背景とした大国主義の道ではない。アメリカ主義に追随してはならない。
  一方、中国の外交と軍事は、慎重かつ冷静に見極めねばならない。中国の潜在的な軍事力、経済力、外交力に脅威を感じているアメリカの言動に振り回されてはいけない。
  西南海域(東シナ海)、南沙諸島周辺での中国の行動にともなう情勢の緊迫化は、ASEAN(東南アジア諸国連合)の存在、ASEAN+3(中国、韓国、日本)の場で日本は、積極的な外交を進めるべきであろう。それはアメリカとタッグを組むのではなく、日本の独自外交として、である。尖閣諸島の帰属問題は、日本の外交力が試される局面だ。
 こうした外交力の積み重ねと高まりがあってこそ、「沖縄問題」解決の扉が押し開かれることになると私は信じる。最後に、
  沖縄では、福島第1原発事故のすさまじい被害を
  沖縄の基地と重ねて考えないわけにはいかない。
  もっとも貧しいところに、危険でまた地球に害を及ぼすもの、
  最も嫌われているものを、
  経済振興というアメを押し付ける。
  地元はアメによって潤い、それに依存せざるをえず、
  将来に負荷がかかり自立が困難になる。
  その構造は、基地も原発も同じなのだ。       
 ・・・「沖縄 アリは象に挑む」(由井晶子著)「第6章『抑止』は『ユクシ』(ウソ)」より

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