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2011年5月29日 (日)

東京電力への申し入れ

 怒号が投げかけられ
 今回の「国会ピース」の主要な訪問先は4カ所であったが、やはりメインは「東京電力」であり、結果からすれば、準備した側の努力もあり、相手の都合もあるにせよ、もう少し時間を割いてもよかったかなと思った。
 27日午後2時から東電本店・別館で始まった申し入れには、少なくとも36人が入室し、東電側は、原子力広報担当の3人が対応した。
 こういう状況、こういう時期であれば、東電側の対応はおのずと形だけでも丁寧になる。まず、資料が用意されていた。一つは、5月17日付の「福島第1原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」の進捗状況についてで(A3で1枚)、4月17日に発表した同様のものの1か月後の経過であった。二つ目は、5月20日付の「当面の事業運営・合理化方針」(A4で4頁)、三つ目は、5月23日掲載とした「地震及び津波の発生と事故の概要」(A4で33頁)であった。
 東電側は、始まるにあたって「申し訳ありませんでした」と謝罪したが、「事故が“人災”で、終息していない現実」の前では、言葉とは裏腹にそれは参加者の胸に響くものではなかった。
 そして従来なら、参加者の代表から、「甚大な原発震災を反省し、今こそ、すべての原発を廃炉にすることを求めます。」という申し入れ書を読みあげるところ、前半の「不安と怒りの責任は、電力会社と政府の責任です!」「すべてを奪った東京電力!」「責任の転化を許さない」を省いて、以下の12項目を申し入れた。
●要請事項
1.福島原発を即時廃炉にし、他の原発も直ちに停止し、廃炉に向け準備すること。            
2 .原発や大規模発電を見直し、自然エネルギーへ転換すること。
3 .事故の調査を徹底的に行い、その責任の所在を明らかにすること。
4 .陸地、海洋を問わず放射能測定地を増やし、数値を速やかに公開すること。
5.放出されたすべての放射性核種や数値を速やかに公表すること。
6.大震災を理由とした免責は許されない。東京電力の責任において被害者すべてに対し補償すること。
7.計画停電による損害は計り知れない。操業停止や操業短縮に追い込まれた企業への賠償、労働者の解雇・待機などの処置に対し補償をすること。
8.放射能汚染により、仕事、希望、生活を奪われた自営業者、酪農業者や農業者、漁業者らに謝罪と補償をすること。
9.風評により被害を受けた、農業者、漁業者、観光業者などに対し補償すること。
10.安易に電気料金の値上げなどで国民に負担を押し付けないこと。
11.生命にかかわる放射線にさらされて作業をしている労働者の安全、労働条件に万全を期するとともに、被ばく線量の管理を徹底すること。
12.東京電力は総力を挙げ速やかに事故を収束させること。  以 上。
 そして予め質問事項も用意していて東電側に伝えていた。
質問事項
1)地震や水素爆発により1号機躯体全体の耐震性が損なわれているのではないのでしょうか。格納容器全体に水を満たし水棺にすると聞いていますが、余震などで耐えることができるのでしょうか。また、それらの検査・調査をした上で行うのでしょうか。
2)2号機ピットから出た高濃度の汚染水が海に流出したことについて。
①地下に浸透して流出していませんか。
②海洋において攪拌され、人体や魚類などには影響しないとしていますが、潮流など調査を行いましたか。沿岸部に流れ着く恐れがあるという意見にどのような説明をしましたか。
3)福島県内において、学校の校庭が汚染され、子供たちの健康に不安を感じています。また、下水道処理施設から高濃度に汚染された汚泥がセメントなどに混じり市場に出回る恐れが出ています。貴社の第1義責任においてどのような対策を講じているのですか。
4)原発は安全、厳重な管理で放射能は出ない、コストが安い、環境にやさしいなどと宣伝していましたが、嘘だったことを認めますか。
5)耐震性を考慮する際、地震を起こさないと認定していた「湯の岳」断層が活動していたとの報道があります。東京電力はこのような知見を今後どのように生かしていくのですか。以 上。
 東電側は、資料の説明をすると同時に質問事項に応えていくという対応であったが、このような場面では、既に明らかになっている内容や長々と経過の説明が続くと、参加者にとってはそれも聞き逃せないが「いいたいこと、怒りのマグマが高まる」ばかりである。
 ついに「原発は、安価で安全で環境にやさしいなどと宣伝してきたではないか、あれは嘘だった、間違いだったと認めるのか」という追及が怒号のようにして始まった。東電側は「現在データなどを分析している段階で、ここでは・・・申し訳ありません」というばかりであった。広報担当の者が技術的な問題に踏み込んで「yes,no」を明言できない立場はわからんでもないが、「yes,no」だけが問題ではない。そこで第2の矢が射られた。「分析、検討中ということであれば、現在稼働している福島第2原発、柏崎刈羽原発はなぜ稼働しているのか。安全は保障、確認されていないのだから、今すぐ止めるべきではないのか」という矛盾を突かれて、担当者は沈黙するほかなかった。
 いうまでもなく状況は、事故の収束に向けて、現場作業に命をかけている人たちの努力が続く中、地域が、そして日本が「破滅」するかもしれない極限状態にあるといえる。また原子力推進政策が「国策」でもあり、他の電力会社にも多大な影響を与えかねない、という経緯からすれば、東電の判断は、一企業としての判断を超えると考えているかもしれない。しかし、残念なことに「政府方針」が出るのを待つ、原発の存続を起点とする選択の段階ではないような気がするのだ。「くまなく補償することに全社で、全力を挙げるとともに、原子力に変わる、自然エネルギーなど新たな電源を求めていく、その先頭に立ち、まい進することで、今回の事故の責任の取り方としたい」という東電の決意が、「禍を転じて福となす」唯一の道ではなかろうかと、やり取りを聞きながら私はメモしていた。

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