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2010年12月29日 (水)

公契約条例とは何ですか・2

  米の違いもあるようだ
  ところで、「公契約問題」とは何か、を定義しておくと、「公契約」とは、一言でいえば「国や自治体などの公的な機関を相手に結ばれる契約」のことだ。だが問題は、経済の停滞、国、自治体の財政悪化を受けて、公共工事の下請け労働者や委託事業の労働者の労働条件にしわ寄せがいき、賃金が最低賃金すれすれのことも多いことで、「公契約賃金」の低賃金構造が問題になっていることだ。そこで「生活できる賃金」確保などを公契約に盛り込むよう義務付ける、「公契約条例」「公契約法」の制定や、国際労働機関(ILO)94号条約の批准を求める運動が起きてきた、ということであった。野田市、旭川市、川崎市などで取り組まれているという。
 さて講演は、先に紹介した、ニューヨーク市立大学准教授のステファニー・ルースさんと、そのお連れ合い、マーク・ブレナーさんが話をされたが、ブレナーさんは、「労働と職場の問題」を書いているジャーナリストであり、労働活動家でもある。そして、「レーバーノーツ」のスタッフとしても活躍しているとか。
 話は「公契約法」そのものより、「リビング・ウェッジ(生活賃金)」に重点が置かれたが、それは現段階での日米のちょっとした違いからだったと思う。というのは、「公契約法=リビング・ウェッジ」という風に規定してしまうと、それは、公共工事関連の領域に留まってしまう。アメリカでは、そのような領域の運動では、公共工事に関連しない領域の、最低賃金を必要とする人たちをカバーできない。つまり「リビング・ウェッジ」とは、底辺の生活を強いられる人すべてを対象とした運動というわけだ。
 これに対して日本の場合は、「最低賃金法」「生活保護法」などでカバーされているという、アメリカとの違いがあり、それが根拠となって、国際労働機関(ILO)94号条約が、50年経っても批准されていない背景がある。
 しかし、規制緩和、特に労働法の改悪により、雇用形態が激変し、「ワーキングプア」といわれる労働者が激増した。加えて国、自治体の財政悪化によって、公共事業周辺の労働条件は悪化の道をたどっている現状から、まず、公的機関での「リビング・ウェッジ」運動が始まったということだろう。
 また、アメリカでは1980年~1990年にかけてこの運動が起きたが、最初は、とある町での小さな運動であったが、それが大学に持ち込まれた。そこには、大学と関係する様々な業者が入っており、そこで働く労働者がいることもあって、大学内ではこの運動を取り上げた、というのが発端だという。
 質疑の時間では、多くの人が手をあげて、関心の高さが伺えたが、それは、「公契約法」「リビング・ウェッジ」そのものより、むしろ、日米の労働者の置かれた実態と「社会保障」の違いについての関心であったと思う。
 私は、住民要求の「公共サービス」の観点から質問をする予定であったが、通訳の状況から、込み入った話は理解されないかもしれないと考え直し、「ベーシック・インカム」と「リビング・ウェッジ」の運動の関連性または、「ベーシック・インカム」についてどう思うか、を聞いてみた。
 もう一つは、少し前の「アダム・スミス」の講演の時に触れられた、「医療保険(健康保険)や最低賃金のレベルが低いアメリカは、なぜ“先進国”といえるのか」をぶっつけてみた。
 いずれの答えも、アメリカという国の特質で「貧困はその人(自己)の責任」「保険制度が充実すればするほど、今まで利益を上げてきた関連企業は利益を減らす。だから猛反対が湧き起こる(政権は企業から献金を受けている)」「自分の企業が成長し、利益を出すことは、労働者の生活もよくなるという考えが一般的」というところに所以するからだという。
 この日米の違いは、この運動を進める上で心していくポイントの一つではないか、と思った昨日の講演会であった。
 

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