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2010年11月 3日 (水)

水曜フォーラム11月例会・2

 アジア安保は、中国と米国が中心か
 私の論点は以下の2点である。アジアの安全保障と共に、改めて「日本の安全保障」についても言及したが、ここでは省く。
● “盟主”は、中国か米国か―「東アジア」と「環太平洋」という枠組み
 ASEANの加盟国を見ると、中国、日本、韓国、(台湾)などの漢字国と、バングラデシュ以西の、インド、ネパール、スリランカ、パキスタン、アフガニスタンは含まれず、東のオセアニアも含まれない。
 それを中国の側から見ると、対ロシア・中央アジア、対北朝鮮は別として、アジア全体を見た時、インドを中心とした西アジア、ASEAN(東南アジア)、米国影響下の日本、韓国、(台湾)の東アジアという区分で、国家戦略を立てていると思われる。戦略的には、どれも同等の位置づけであるが、「東シナ海・シナイ半島」は、古くから「華僑(中国大陸・台湾・香港・マカオ以外の国家・地域に移住しながらも、中国の国籍を持つ漢民族)」といい形で進出してきた地域でもあり、影響力が強いし、さらに強めていくだろう。
 こうした中国の影響力に対抗する形で「東アジア共同体」構想が生まれたのではないだろうか。もっとも、この「東アジア共同体」には中国も含まれるから「対抗」というより「戦略的互恵」「融和、共同」ということが基軸ではある。しかし、日本も韓国もアメリカとは同盟関係にあり、アメリカの影響力を背景にしているから、中国に対する対抗勢力乃至は「抑止力」という意味合いはあろう。中国が、この構想に今一つのって来ないことの一つに、こうした背景を読みとっているからだろう。
 それをもっと露骨にしているのが、オーストラリアが提唱する「アジア太平洋共同体」である。これはアメリカを基軸とする「環太平洋」諸国の同盟を求めるものとも言える。それは、1971年から始まった「リムパック(Rimpac)」という、環太平洋合同軍事演習からも読み取れる。当初は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドだけであったが、1980年に日本、1990年に韓国も参加し、さらに、イギリス海軍やチリ、ペルーなどの南米諸国なども参加するようになった。中国の国力の伸長、世界での影響力の浸透と符合している。
 ただここで注目したいのは、先ごろ開催された「東アジアサミット(EAS)」である。今回ここに米露代表が招待されたが、次回からは正式メンバーとなるという。これが中国へのけん制となるのか、中露対米日韓といった新たなアジアにおける「冷戦」の様相を呈するのか、日本政府の対応も含めて注視したい。
●全て「バランス」であるが、危うさが付きまとう
 こうして見ると、「アジアの安全保障」を考えるとき、中国の存在と影響力、対するアメリカの影響力も抜きにして考えられないことは確かである。リー元首相の指摘にはうなずける。
 そこで様々な軋轢、緊張、紛争を取り除くあるいは拡大させないために、各国は自前の「安全保障」をどのように確立するか腐心している。そこで、いわば「小国」の国々は、例えばASEANという集団で構えようとする。日本、韓国などはアメリカとの同盟関係をもって自衛する、といった具合だ。
 だがそれは、中国の側から見れば、「包囲網を敷かれる」という警戒感を抱いていることだろう。ASEAN、「東アジア共同体」構想、「アジア太平洋共同体」構想は、(以下引用)「多国間主義」であり、「多国間主義」はもともと妥協や協力・協調の姿勢と密接不可分であると西側では理解されている。しかし中国の場合、そこには国益優先の非妥協的姿勢と2国間主義がついて回ってきた。・・・南シナ海問題では、アジアの国々と多国間協議を拒否し、2国間の話し合いに固執している。(金言:西川 恵 2010年10月29日付 毎日新聞・朝刊から)
 中国に関して更に付け加えると、これまで「・・・先進国が支配してきた世界秩序にあって、中国は途上国の声を代表することに外交努力を傾注してきた。」「・・・領土・領海問題、レアアース輸出規制、人民元操作・・・。多国間主義本来の協力と協調に立つのか、独善的な国益優先主義でいくのか。中国の外交姿勢がかつてなく問われている・・・」(引用:同)ということでもある。
 結局、軍事的にも経済的にも、均衡(バランス)がとれているうちは、「平和均衡」の状態といえるだろう。しかし、軍事的には「国連を軸にした軍縮」という道もないわけではないが、経済(国益)は極めて流動的であり、外交レベルだけでは対処できない要素を含んでおり、常に危うい。
(続く)

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