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2010年10月14日 (木)

三菱自動車岡崎工場で労災隠し

  違法派遣で被災、右肩脱臼
 名古屋ふれあいユニオンの酒井運営委員長からのメールで、この問題を知った。
  元職場のことであれば、少なからず関心を持ったが、退職して10年以上経ち、リコール隠しですっかり企業の信用を落として、未だに経営不振のどん底にいて、多くの退職者を出し、私の知る元職場の仲間も少なくなった。何より、退職後一度も職場を訪れて来なかったことが、この企業に対する思い入れを希薄にさせている。
 労災事故に遭い、右肩鎖間接脱臼で全治1ヶ月以上の重傷を負ったのは、日系ブラジル人労働者・Oさん(31歳)であった。Oさんは、安城市に本社を置く派遣会社を通じて三菱自動車工業岡崎工場内で構内作業を請け負っている(株)東山(とうざん)の作業所に派遣されていた。
 この場合、労災の責任企業は、一義的には、派遣会社であるが、「派遣先である東山の従業員が労働者派遣法などで禁止されている事前面接を行なっていた他、リフトの技能テストを行なうなどして、本来派遣先が行なってはならない採用行為に関与していた。」ということであれば、東山の責任は免れない。また三菱自動車は、業務委託した東山での事故であり、関知しないという態度とのことであるが、旧態依然というか、企業としての「こんにち的コンプライアンス」がわかっていないようである。
 重要なことは、労災事故が「三菱自動車の工場内」で起きたこという事実であり、そこで働いていて労災に遭った労働者がどこの所属であるかは、二の次であることだ。商品として出荷する自動車の、その製造過程での事故であることをメーカーである三菱自動車はなぜ理解できないのか。例えば、部品メーカーから納入される部品が、品質基準に合わなければ、突き返すこともできるが、技術指導、品質管理のノウハウを伝えてでも、あるいは共同作業、共同研究を通じて、自動車という商品の完成度を高めようとするのは当然のことだ。
 自動車の製造に従事する労働者の安全衛生管理もまた同じであり、製造過程のどこの場所であれ、1件の労災事故も出さないというのが、メーカー企業の務めであろう。しかし、不幸にして労災事故が発生してしまった場合、その原因究明と再発防止策を講じることについては、親会社として無関心でいられるはずがない。労災が多発すれば、それが業務委託先であれ、派遣会社の労働者であれ、「三菱の工場の中は、どうなっているのか」という社会的な不信感を招きかねない、企業のイメージダウンにつながるからである。
 だが人間の悪知恵は、それが高じて、無災害記録の維持、更新のため、労災隠しや、危険作業の外注化で免れようとするのである。
 三菱自動車の取るべき対応は、東山と派遣会社と一体となり、原因究明と再発防止策を講じ、被災者に万全の治療と補償をすべきで、それをなし得て初めて、東山と派遣会社に、第一義的な責任を果たすよう指導すればよい訳である。
  そのような良質な企業風土を積み上げて初めて三菱自動車は、社会的信用を得、従業員の意欲をかき立てて、再建を果たし、自動車産業界で生き残れるのではないだろうか。たかが労災とみくびらない方が良い。

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