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2010年10月11日 (月)

水曜フォーラム10月例会・6

  参加者の意見から・3
 さて、フリーデスカッションで一つの論点としては、中国の国内の事情、とりわけ権力闘争に関わる問題があったといえる。ただこの問題は、情報が乏しいこともあって、どこまで迫れるかは不明である。
  まず尖閣諸島における衝突事件と中国の(強硬な)対応の背景には、中国国内における「権力闘争」があることが指摘され、その意味では「日本は、親日派の胡錦濤、温家宝が、反対勢力に追い落としに遭うような対応をすべきではない。対中国強硬論は、反胡錦濤、温家宝を勢いづかせる」という意見もあった。
  おりしも、ノーベル平和賞に、獄中にある中国の民主活動家で作家の劉暁波氏に決まったことで、これを「内政干渉」とする中国政府の在り方は、胡錦濤、温家宝派と反胡錦濤、温家宝派の争いをあぶり出すことだろう。
 また中国国内の問題として「文革の総括がいまだになされていない」という指摘も出された。それの掘り下げはなかったが、「文化大革命」そのものは何であったのか、その総括がなされていないことと、現在の中国の権力闘争と何か関係があるのか。「改革・開放世代」の以前と以後の、中国人意識はどう変化したのか、していないのか。
 また「20世紀はアメリカの世紀といわれ、21世紀は(中国を中心とする)ユーラシアの世紀」とも言われる。改革・開放後の世代が、どう中国を動かしていくのか。という指摘もあったが、これはもっと中国を知るべきであるという注意喚起でもあろう。気をつけたいのは、対中国強硬論を言う人に見られがちであるが、アジア蔑視、中国・朝鮮蔑視の臭いがほのかに漂うような気がすることである。
 さてもう一つは、結びになるが、やはり、「世界の中の中国」が、今後どのような道をたどるであろうかという点に絞られる。
 世界一の人口を持つ中国は、その安価で豊富な労働力をもって「世界の工場」として発展してきたが、その労働力に加え、外国の生産技術を取り込み、自前の技術として発展させつつある。その持続的な発展のために資源・エネルギー確保に世界へ展開し、外交の主柱の一つとしている。ただ中国経済は、当分発展し続けるであろうが、労働力がいかに豊富とはいえ「少子高齢化」の大波は避けられないし、どうしようもない大きな格差が、社会問題化することも予想されるところである。
 一方、「世界の工場」でありつつ中国は、「世界の市場」に変貌しつつある。高度経済成長が続く中、中国国民の消費は旺盛で、中国の市場へは工業製品ばかりでなく、コンビニ、服飾、保険、化粧品、医薬品といった領域まで広がりつつある。また、富裕層を中心とした日本への「メディカルツアー」といったものも拡大しつつある。そうして見ると、日中の関係は、外交・軍事面ではどうであれ、経済的な交流は、産業界だけでなく個人レベルでもますます盛んで、切るに切れない関係になっている。問題はそれが「バブル」なのかどうかであり、仮にバブルが崩壊したとき、まったく違う局面が出てくるかもしれない点だ。
 さて、外交・軍事面ではどうであろうか。
 まず新疆ウィグル地区、チベット、台湾、南沙諸島などは、国内問題といいながら、これは外交問題でもあるといっていい。これについて中国は、現状を「固定化」することで摩擦を避けていくだろう。
  また中国は、国連の常任理事国であり、その国力をもって一定の発言力を有しているが、PKO、PKFについて中国は、「・・・アジアでは東ティモール、アフガニスタン、欧州ではボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、アフリカではリベリア、スーダン、米州ではハイチの7地域に国連平和維持軍(PKF)を延べ1569人派遣、中でもハイチにはPKF治安隊を8部隊、延べ1千人派遣している。現在もなおPKF191人が東ティモール、リベリア、スーダン、ハイチの4地域で任務に当たっている。」(引用)というが、戦闘に参加したという話は聞かない。
 さらに「北朝鮮問題」では、中心的な役割が期待されており、これを含めて中国の存在と動向は、東アジにおける安全保障と密接不可分の関係にある。中印、中露、中日、中朝、中韓、そして中米関係は、今や世界が注視するところまで押し上げられていることは間違いない。間違っても「中華思想」的独善性に陥ってはほしくない。東西対立の緩和や南北格差の是正に一役買うことのできる国になりつつある中国といえなくもない。
 そのような中国への期待は、一方で警戒感をも引きずるのであるが、それを少しでも緩和させることのできるのは日本の外交でもある。だから「核武装論」をぶち上げ、中国の反日勢力を増長させて、どこに「弱腰外交」などといえる資格があるというのだろう。
 日本の進路をもっと真剣に考えれば、軍拡論は出てこない。前時代の一面だけを都合よく引用する浅慮は、「弱腰外交」以下の「無能外交」ではないかと思う。
  ということでひとまず区切りとするが、「日本の進路をもっと真剣に考える」宿題は残った。 了。

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