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2008年9月20日 (土)

現代労働負担研究会

 多角的にトヨタに挑む一例として
 台風一過、真夏が戻ったような空の下を、“早起きはつらいなあ、草稿は未完成だし・・・”と思いつつ、汗をかきかき会場に急いだ。10時開会に約3分の遅刻であったが、主催者挨拶には間にあった。
 日系ブラジル人労働者の実態を、自らの経験を元にした話。さらに過労死認定訴訟の原告としての話に続いて、指名を受けて、TMPCWAに関する話を若干オーバーして25分話した。
  フィリピントヨタ労組(TMPCWA)の闘いの経過については、過日作成のチラシを参照してもらうことにして、論点を提起する前に、ややもすればアジアに対する見下した、日本人の見方に注意を喚起し、日本とフィリピンでは、労働組合一つを作るに当たっても、国情が著しく違う点に留意すべきという2点を前置きして、ではなぜ今、TMPCWA支援か、について話を始めた。
 その一つは、組合幹部の命さえ危ぶまれる中で、8年間の長き闘いを継続するTMPCWAへの共感であり、二つに、相手が、多国籍企業のトップ企業「トヨタ」であること。これは、トヨタを研究すること、トヨタと向き合うことそれ自体が、今日的課題に向き合うことが多いといえるからである。
  そして3つ目に、資本、物流、労働力などが国境超える「多国籍企業」の時代の労働運動のあり方、グローバリーゼーションの流れの中で、いっそう労働者、労働組合の国際連帯、共同闘争が問われていると思うからである。
 さて20分という短い時間の中で一つだけ中心的に話をしたことは、「多国籍企業」の時代の、国内法と国際法についてで、日本の憲法、法律の適用範囲は、どこまで及ぶか、についてTMPCWAの例を引いて話した。
 現地法人フィリピントヨタ社は、全く当事者能力欠いた対応しかできないが、その社長はトヨタ本社から派遣された日本人社長である。とすれば、交渉相手はトヨタ本社しかないわけで、TMPCWAの委員長らが来日しては、再三に亘って交渉のテーブルにつくようにトヨタに求めたが、トヨタは応じなかった。
  そこで日本の支援グループは、TMPCWAを全造船関東地協に組織加盟させた。正確には、全造船関東地協・神奈川地域労働組合の一支部として登録したのである。
 その上で、全造船は上部団体としてトヨタ本社に対して団体交渉の申し入れを行ったのであるが、トヨタは拒否した。そこで、団交拒否は不当労働行為だとして、全造船は神奈川県労働委員会に救済申し立てをした。ここでは公益委員の一人が熱心に事情を聞いてくれたが、結果は審尋もないまま「国内法は、外国での事案に適用できない」との理由で却下された。以降、中労委、東京地裁、東京高裁全て同じ経過を辿って、現在最高裁で止まったままである。
 実はこの戦術について当初から、ハードルはかなり高いという見方はあった。結果はその通りに推移しているが、一部の法学者、弁護士から、「多国籍企業が跋扈している現在、個別の国内法だけでは判断すれば『二重基準(ダブルスタンダード)』を看過することになり、『国際法』の観点から好ましくない」(この文章は引用ではなく、私流の解釈)という観点の指摘が出された。研究課題に値するということであろう。
 他に、ILOの勧告、IMFの反トヨタ世界キャンペーン、アメリカのNGO・NLC(ナショナル レーバー コミッティー)の(批判的な)トヨタ調査報告書の公表など、TMPCWAが発信する問題の世界的な広がりについても言及したかったが、司会者から“まとめ”を求められて終えた。

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――デンソー系「アンデン」でのケースを中心に―― 9月20日、 現代労働負担研究会が 「トヨタの働き方研究・交流集会」を開催し、 名古屋ふれあいユニオンの平良マルコス副委員長が 「トヨタ下請で働く日系ブラジル人の実態」 と題する発表を行なった。 その要旨は以下の通りである。 《平良マルコス副委員長の報告》 ■労働組合の力で解雇撤回・職場復帰! 名古屋ふれあいユニオン副委員長の 平良マルコスです。 今日はトヨタグループ企業・デンソーの グループ会社である「アン... [続きを読む]

受信: 2008年9月22日 (月) 19時24分

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