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2007年11月26日 (月)

トヨタシンポジウム・2

 労働運動の現状とそのゆくえ
 私の質問に対する萩原氏の答は、これからの労働運動、働くものの立場からも環境問題を重視することは大事な点だと言うにとどまり、「我々の要求する大幅賃上げについて」「豊かさの質と量」「労働者の生活のありよう、政治、社会との向き合い方」などについて踏み込んだ話はなかったように思う。
 それらの問答を基軸としてシンポジウム全体を思い返してみると、トヨタそのものついての批判的問題点などは、「トヨタの正体」(週刊金曜日・佐高信/横田一)「トヨタの闇」(ビジネス社・渡邊正裕/林克明)「あなたの知らないトヨタ」(学習の友社・伊藤欽次)「トヨタの品格」(洋泉社・伊藤欽次)などでかなり知ることができよう。またそれらの著書の中で紹介される、トヨタの職場の実態や、当事者からの発言、報告もあって、職場での闘いのヒントが散見される一方、その困難さも迫ってくる感じがしたものである。
 もっとも、現役から一歩退いた人間と、なお職場で御用組合や職制と向き合う者との差は大きい。現役から発言は、怒りを燃え立たせているので、生きた発言ということができる。だが、実態報告はあってもそれに立ち向かい、労働者を取り込む“前線”での闘いとなると、やや弱い点は否めない。
 その点では、結成して2年になろうとする全トヨタ労働組合(ATU・全トユニオン)の若月委員長の発言は論旨明快で、闘志が表に出ていて、聞いていて爽快な気持ちにさせられる。
 彼は組合を結成してわかった点について、「トヨタという会社のピラミッドの頂点より、底辺部分がよく見えるようになった」といい、組合に寄せられるメールは、底辺部からのものがすべてだという。それは例えば長時間労働の悲鳴、年休をとった上で仕事に従事する実態、人手不足は下請で一層深刻になっており、それがサービス残業横行の温床になっている。さらに健康障害が増え、偽装雇用として派遣社員を、工場ごとの契約で、3か月ごとに工場間を移動させる手口などなど。
 最近、連合・トヨタ労組は、期間社員、パートなど非正規労働者を組織化し始めたが、それは建前だけで本硫化しているとはいえない。下請企業ではまったくというほど進んでいない。
 若月委員長は、そうした実態を見るにつけ、非正規雇用労働者の声が反映される「労働者・市民の共同センター」の必要性を説いた。
 本工型労働運動から正規、非正規を超えた底辺から切り結ぶ労働運動、それらは社会問題として、市民と共同の闘いを進める必要性があるという指摘は、今日的課題に的確に応じているといえるのではないか。
 私も参画している「全トヨタ労働組合をサポートする市民の会」の結成は、この若月委員長の発言とベクトルを一にしている点を改めて感じたものだった。 
(完)

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